BBC スキャンダル相次ぐ―海外紙は、BBC の構造的問題に焦点―
11 日、公共放送BBC (イギリス放送協会) の監督を司る BBC トラストのクリス・パッテン会長は、BBC に対して抜本的な改革が必要であると述べた。その前日、BBC のジョージ・エントウィスル会長は、ニュース番組『Newsnight』による誤報の責任を取って辞任していた。同番組は、保守党の元閣僚が、ウェールズの児童福祉施設に暮らす男児に対して性的虐待を働いたと示唆するものであった。被害者とされる男性は、すでに、元閣僚と誤認したことを認め謝罪している。会長辞任の伏線は昨年末に遡る。BBC の人気司会者であった故ジミー・サビル氏が数十年に渡って児童に対して性的虐待を行なっていたとする報道が握りつぶされたのだ。これが発覚し、BBC は批判を受けていたところであった。
海外紙は、BBC が抱える本質的な問題を取り上げている。
フィナンシャル・タイムズ紙は、BBC の体質を問題視している。同紙によると、BBC トラストは、退職金として 450 万ポンドがエントウィスル会長に支払われたことを認めている。また、在任期間がほんの2 か月ばかりであっても、多額の退職金が視聴料によって賄われることに対して疑問の声が上がっていることも合わせて報じられている。インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙も、BBC のヒエラルキーを俎上に上げている。1990 年代から今日に至るまで、番組編成にタッチしない経営陣が過剰な報酬を得ているという事実に対して、BBC のトップ・ジャーナリストなどから批判が絶えず続いていることを指摘している。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、クリス・パッテン会長の「BBC には中国共産党よりも多くの古参がいる」という言葉を引用して、構造的な問題を取り上げている。
また、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、BBC の特権的な立場を取り上げている。同紙は、BBC の年間資金の 35 億ポンドは、145.5 ポンドの視聴料によるものであり、それゆえ、公共の監視のもとに置かれているとしている。インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙は、公共放送としての BBC の存在意義という根本的な問題について切り込んでいる。同紙は、複数のメディアを選択できる時代において、BBC のような巨大な公共放送が果たして必要なのかどうかという疑問と、BBC が勅許によって得ている特権を今後も保持すべきか否かという疑問を提示している。同紙によると、BBC の規模を縮小し、エンターテイメントやスポーツ番組などは商業的な放送局に任せるべきであるという厳しい意見もすでに出ているという。