胡錦濤総書記の演説で中国共産党大会開幕―成果を自賛し影響力保つ―

 8日、北京で第18回中国共産党大会が開幕し、胡錦濤総書記が基調演説を行った。

 大会は1週間続いたのち、総書記ポストが習近平氏に移るものとみられているが(国家主席の継承は来年)、いずれにしても胡錦濤氏ら現指導層は影響力を維持し続けるものとみられており、実際、今回も胡錦濤氏の前任者である江沢民氏がテレビカメラに映っている。習近平氏は共産党指導部でもリベラル派の人物とされているが、こうした影響力に逆らって抜本的な改革を断行することは困難で、インターナショナル・ヘラルド・トリビューンは「習近平はゴルバチョフにはなれない」との評を伝えている。

 インターナショナル・ヘラルド・トリビューンによれば、演説は100分にもわたるものでありながら、64ページの公式文書の概略をつまんだ総花的な内容であり、それに見合わない大仰な修辞は、インターネット上では冷ややかに見られていると報じている。毛沢東や鄧小平に頻繁に言及し、共産党指導者の決まり文句を総出演させ、かつ自らの「科学的発展観」が共産党のイデオロギーに貢献したと自賛することで、彼らと同格の歴史的地位をアピールする狙いのようだ。

 しかしフィナンシャル・タイムズは、この10年これといった経済改革の成果があったわけではなく、国有企業重視の非効率な経済は相変わらずだと伝えている。胡錦濤氏は、持続性に欠ける大規模投資ではなく、内需拡大による経済の発展をうたってはいるものの、進捗ははかばかしくないとインターナショナル・ヘラルド・トリビューンは指摘した。実際、投資支出の経済生産に占めるシェアは、昨年45.7%と依然として高水準にある。また、著作権や特許のいい加減な扱いについて外国からの苦情が頻繁なことは胡氏も認めざるを得ず、「中国の技術革新を促進する方法として、知的財産の保護を強化することを約束した」という。

 ウォール・ストリート・ジャーナルは、胡氏の演説が、汚職や職権濫用といった党の腐敗問題について、「我々がこの問題の処理に失敗すれば、党にとって致命傷になる」「人民が我々に寄せる信頼と大きな期待を、党すべてが念頭に置かなくてはならない」と、このような重要な大会では異例とも言える明確な表現で言及したことに注目した。

Text by NewSphere 編集部