プーチン大統領、側近を解任―汚職事件の責任問題か?―

 ロシアのプーチン大統領は6日、セルジュコフ国防相を罷免し、元モスクワ州知事のショイグ氏を後任にあてた。セルジュコフ氏は2007年に国防相に就任していた。ショイグ氏は1994年から2012年5月まで非常事態相を務め、以前からプーチン大統領に忠実だとされている。
 
 各紙は、80億円近い損失を発生させた疑いが主な原因、と報じた。セルジュコフ氏が2011年まで会長を務めていた国防省直轄の企業で詐欺事件が発覚し、10月末から捜査が進んでいることを紹介。一般企業に資産を不正に販売し、多大な損失が発生した疑いがもたれているとした。実際、プーチン大統領は解任理由について、詐欺事件の捜査に「公正を期すため」と説明している。

 プーチン氏が側近の解任に踏み切ることはまれとされているため、今回の事態には他にも要因があるのでは、という見方もあるようだ。ウォール・ストリート・ジャーナルは、捜査当局がセルジュコフ氏の愛人と見られる女性のアパートを家宅捜索したことを取り上げた。この女性は詐欺事件が発覚した企業に勤めていたとも紹介している。なおセルジュコフ氏は、ズブコフ前首相の娘を妻にもつ。義理の父にあたるズブコフ氏は、プーチン大統領と親密という指摘もある。

 また別の要因として、セルジュコフ氏とプーチン大統領の軍事政策との相違を指摘する声もある。フィナンシャル・タイムズは、セルジュコフ氏が軍改革を推進してきたことにふれた。人員削減などの手法に対する軍からの反発は強かったともいわれる。

 ウォール・ストリート・ジャーナルは、異例の人事と背景にある事件の規模から、ロシア指導部での内部抗争の可能性を指摘するアナリストの意見も取り上げている。

Text by NewSphere 編集部