エジプトのコプト正教会、第118代新教皇を選出―海外紙は新教皇の課題を分析―
中東最大のキリスト教派であるエジプトのコプト正教会は4日、カイロのサンマルコ大聖堂で、タワドロス主教(60)を新教皇として選出した。タワドロス主教は、英国で修業したことのある薬剤師で、1986年に修道院に入る前、薬工場を経営していた経験を持つ。11月18日に正式に即位し、第118代教皇となる。前任のシュヌーダ3世が今年3月に死去したことを受けたもので、新教皇の選出は約40年ぶりとなる。過激派を除いた3人の候補者の中から、「神の手」として、目隠しされた少年が名前を選んだ。なお、コプト教徒は800~1000万人といわれ、エジプト人口の約1割を占める。
海外紙は、イスラム政治勢力が台頭する中、コプト正教会の姿勢の変化と課題に注目した。
エジプトでは、ムバラク独裁政権崩壊後、イスラム原理主義組織ムスリム同胞団出身のモルシ大統領が政権を握っている。The Wall Street Journalは、コプト教徒がムバラク政権を容認し、国の保護を享受していたと紹介。そのため、教徒らは宗教的摩擦の激化を懸念しているという。実際、ムバラク氏の失脚以降、コプト教徒を対象とした暴動が増え、デモ隊が撃ち殺されたこともあるとFinancial Timesは指摘した。
しかしタワドロス新主教は、政治的な役割を果たしていた前主教と異なり、教会の精神的な役割に焦点をあてると述べている。「我々の同胞、ムスリムとうまくやる」とテレビインタビューでも述べており、海外各紙はこうした姿勢の変化に着目した。教徒側も概ね変化を歓迎する意向だと、The Wall Street Journalは報じている。一方でFinancial Timesは、根強い差別や弱い法制度を持つ国で、政治的役割を避けるのは難しいだろうと指摘した。