ハリケーンの影響、大統領選と市場に

ハリケーン 29日夜(日本時間30日午前)、ハリケーン「サンディ」は、強い温帯低気圧に変わった後、米国東部に上陸した。CNNによると、この影響で少なくとも10人が死亡。また首都ワシントンなどで280万世帯が停電。沿岸部では冠水の被害も出ている。
 「サンディ」は、11 月 6 日に選挙日を控えた大統領選や、株式市場にも影響を及ぼしている。具体的にどのような影響が懸念され、どれくらい深刻なのか?

The New York Times の報道姿勢―オバマ氏に不利?―
 ハリケーンによって、選挙の見通しがさらに不透明になったと報じている。
 今回の大統領選では共和党も期日前投票に注力したが、元来、期日前投票によって自陣営への投票率を高めることができるという考え方は、民主党が信奉しているものだ。事実、 2008 年の大統領選でも、選挙当日のオバマ氏の得票はマケイン氏よりも少なかったが、期日前投票が当選の原動力となっていた。ところがハリケーン上陸によって、米大統領選の結末を予測することが一層難しくなった。ノースカロライナ州やバージニア州では月曜日の期日前投票が中止となり、他にも、投票時間を短縮したスイングステート(選挙結果を左右する重要な州)があったからだ。

Financial Timesの報道姿勢―株式市場は閉鎖―
 29日、FTSE 全世界株価指数が 0.3 パーセント下がり、FTSE ユーロトップ 300 種指数も0.35 パーセント下落した。全体的には、やや「リスクオフ」傾向がみられる。ハリケーン上陸にともない、株式およびオプションの取引は中止されたが、証券業・金融市場協会(SIFMA)は、30日も、ドル建て確定利付証券の取引を全面的に中止すべきであると勧告している。この休場は、ニューヨーク証券取引所やナスダックを含む代表的な米国証券取引所すべてに波及するとみられる。

The Wall Street Journalの報道姿勢―ハリケーンとダウ平均―
 ハリケーン上陸に関連した市場の動向を報じた。
 29日、株式先物取引は午前 9 時 15 分まで開いていた。ダウ工業株平均の先物は、61 ポイント(0.5 パーセント)下落して 12993 となった。また、S&P500種株価指数先物は、4.85 ポイント(0.5 パーセント)落ち、1402.75 となった。中止措置が取られなかったとしても、取引は低調に推移したであろうことがうかがわれる。なお、原油や金などの商品取引は続行された。ハリケーン上陸にともなう東海岸のガソリン精製所への脅威のため、投資家たちはエネルギー関連商品の値動きを注視していた。

Text by NewSphere 編集部