イギリス、第3四半期は経済成長に転じる―不況脱出の判断は尚早か?―

Cameron 25日発表のデータによると、イギリスの第3四半期GDPは1%(年率4.1%)のプラス成長で、3四半期ぶりにマイナス成長から脱した。
 最近のヨーロッパ経済のうちでは相対的に恵まれた結果であるが、絶対的に高い数字というほどでもなく、建設業などでは厳しい後退が続いている。野党やアナリストらは、オリンピックなどの一時的な経済効果が表れたものであって、長続きするかどうかは不透明と評している。また、英国銀行が来月期限切れとなる量的緩和プログラムを延長する可能性は薄れたとみなされ、国債金利はむしろ上昇したという。
 なお、公式発表前日にキャメロン首相が議会において「グッドニュースがあります」と口を滑らせたことで、英国統計局の中立性についての批判が集まっている。

Financial Timesの報道姿勢―最悪の事態を脱しただけ―
 この結果は、エコノミストたちの0.6%しか予測できなかったと指摘した。しかし最悪の事態を脱しただけであって回復力は弱く、世界経済はいまだ不調であり、先行きは楽観できないとしている。
 今年通算で1割以上の縮小になっている建設業の不調が、公共投資の引き締めによるものとも指摘している。

The New York Timesの報道姿勢―ユーロ圏諸国よりは善戦、このまま行くべきか?―
 手放しで喜ぶほどの成長率ではないとはいえ、失業率が8%弱で済んでいる点や、そもそも自主的に金融政策を決められる余地が残っている点など、イギリス経済がユーロ圏諸国よりは善戦していることを強調し、ユーロ圏と距離を置こうとする与党・保守党にとって政治的な助けになると報じた。しかし緊縮財政の継続はむしろ景気回復の妨げになるのであり、低金利に乗じて政府支出を増やすべきだとの根強い批判も伝えている。

The Wall Street Journalの報道姿勢―本当は回復などと呼びたくない―
 オズボーン財務相とそのチームは、経済の脆弱さを認めており、公式には政権の成果を高らかにアピールしつつも「本当はこれを回復などと呼びたくない」のが本音だと分析している。オズボーン財務相は、イギリスの借金はまだ重く、他の西側諸国と同様に新興国との競争に脅かされていると指摘したという。

Text by NewSphere 編集部