ロシアの不正選挙疑惑
14日、ロシアで地方選挙が行われ、主要選挙で与党「統一ロシア」が勝利した。
反対勢力は不正行為の疑惑を抱いており、不在者票を買い取る水増し行為や、一部議員の選挙運動の妨害などを指摘した。こうした不正行為が中央政府によるものではないかとの疑いも出ているが、メドベージェフ首相は否定している。
ロシアの政治の向かう先は?選挙制度の今後の変遷は?海外各紙から読み解く。
Financial Timesの報道姿勢―選挙実施が進歩の証―
不正への非難と同時に、8年ぶりに行われた知事の直接選挙を評価する声も掲載した。第三党の野党「公正ロシア」の代議士は、「選挙のあり方に対する批判もあるでしょう。しかし選挙がなされている。これは進歩なのです。」と述べた。全体としては与党優勢だが、現職官僚が共産党に負ける可能性が高い地域もあることを紹介した。背景として、官僚による汚職への反発があることを指摘した。
The New York Timesの報道姿勢―前進への評価と、一部に漂う無力感―
不正行為疑惑への非難より、選挙改革が実行されたことの評価に紙幅を割いた。ロシアでは去年の選挙での不正を受けて、町中に選挙監視員を配置するなどの対策を講じていることを紹介した。今回も3.000人もの監視員が町に繰り出し選挙の公正を守ろうとした。しかし今回も多くの不正が発覚し、過去最悪の選挙だとの指摘もあるとした。ただし、監視員が多いために不正も多く見つかったと分析する人もいる。
結果的にはプーチン大統領率いる与党「統一ロシア」の優勢は変わらない。5つすべての地域で勝利し、地域によっては92%もの票を獲得した。これに対して、「どんなことを言っても、それは権力の力で変えられてしまう」と、政府に無力を感じているコメントも報じている。