中国、IMFドタキャンのねらいは日本への圧力か?
中国人民銀行(中国の中央銀行)の総裁と財政大臣が、東京で開催されるIMF・世銀総会に急遽欠席することがわかった。IMFは日程調整がつかなかったためと説明したが、日中間の尖閣問題をめぐる対立が原因と各国メディアは分析している。中国との領有権問題についても歩み寄るきっかけを逃した、と報じた日本の報道機関もある。
今後の世界経済への影響は?日中関係の行方は?
Financial Timesの報道姿勢―中国は世界に対しても強固な姿勢―
中国は日本との領土をめぐる対立に関して一歩も引く姿勢を見せず、尖閣諸島近海にほぼ毎日のように船を送るなど、攻撃的な姿勢だ。中国はIMFに必要とされていることを認識しているため、世界に対しても強い姿勢をとり続けていると報じた。さらに指導部交代を間近に控えた中国では、日本に弱気な態度を示すのは危険と考えられていると分析した。会議欠席のデメリットより、日本に強い姿勢をとり続けることで得る利益の方が大きい、という国内専門家のコメントも取り上げている。
The New York Timesの報道姿勢―中国は日本に強い圧力、交渉を要求―
中国が領土問題で優位に立つために経済での圧力を用いるだろう、という声を取り上げた。実際過去に中国漁船の船長を日本が拘束していた時、レアアースの輸出禁止措置などをとり、解放させたこともあった。今回もそのような意図があるのではという専門家の分析を紹介し、中国の日本に対する圧力を取り上げている。また中国の外務大臣の、「日本がこの問題に向き合い、過ちを正し、交渉をもってして解決策を打ち出す努力をすべきだ」との要求も報じている。
The Wall Street Journalの報道姿勢―日本経済への打撃とその解決策―
領土問題と今回の欠席事件を絡めて、日本経済における影響を分析した。中国国内では日本製品を買わないようにする動きがあり、トヨタの売り上げは2.4%減少、キヤノンやオリンパスなど中国展開している日本の16電子会社にも被害がある。日本の大手投資会社も「これは一時的なものだと思っているが、今後も注目し投資や商業に与える影響を再検討しなくてはならない」とコメントしたことを取り上げた。
また日中関係の回復のひとつの手段として、野田首相の降板を挙げた。中国では尖閣諸島の国有化を許した張本人として、彼への反発が強いため、話し合いにならないが、後継者とならば交渉の余地がある、との見解も報じた。