iPhone5発売 アップル地図に批判沸騰

21日、米アップル社はiPhone5を発売した。直前にリリースしていた「iOS6」が搭載されている。大きな変更点の1つに、デフォルトの地図アプリの変更が挙げられる。2007年の発売以来、グーグル社の地図アプリをデフォルトで搭載していたが、iOS6よりアップル社提供の地図アプリに変更された。これに対する不満の声が、アップル社のサポートサイトやソーシャルメディア上に多数書き込まれた。なお、アップル社は、地図アプリはクラウドサービスであり、多くのユーザーが使えば使うほど賢くなる、としている。同日、アップル社の株価はNY市場で3.31ドル下がった。

<各紙の報道>
FTは、この事態を「世界で最も価値ある企業」にしては珍しいつまずきだと評した。地図アプリの不正確さと欠陥に対して不満の声が集まっており、特に米国以外での間違いがひどいと紹介した。例えば、アイルランド大臣は地元の農場が空港になっていた、とコメントしている。サポートサイトには、ジョブズが生きていたら許さなかったとの声もあると紹介した。別の記事ではクラウドサービス「MobileMe」の失敗から「iCloud」の成功につなげた過去にも言及している。iPhone5の予約は史上最高記録であり、今後も売上には影響しないが評判を下げるという専門家の指摘も掲載した。

IHTは、地図アプリの提供は、アンドロイドを提供するグーグル社にアップル社が対抗した措置で、3つの地図会社を買収するなど同社の準備が進んでいたことを指摘した。不満の声だけでなく、3Dなど新機能の紹介やSiriとの連携を評価している。ただ、ユーザーに与えるストレスが大きく、やはりグーグル社の地図アプリに対抗できるほど強くはないとした。なお、グーグルはアップルストアへの地図アプリの提供検討について明確にコメントしていないと報じた。

WSJも、不満の声を多数紹介した。例えば日本では、羽田空港内に大王製紙があるなどひどい間違いがみられると指摘した。ただ、これをアップル社のチャレンジと評価しており、乗り換え案内などで外部企業と連携することや、ユーザーデータを基にした改善などを期待している。なお地図アプリはスマートフォンにとって鍵となるもので、位置情報を活用したモバイル広告の市場規模は25億ドル(約200億円)、2年で10%アップの成長を見せていると紹介した。

<参考リンク>
iOS6で迷子にならないためのtips
(小飼 弾)

Text by NewSphere 編集部