英BスカイBは「シロ」 マードック氏ひとまず安堵

20日、英国情報通信庁(通称オフコム)は、有料衛星放送会社のBスカイBに対し、「放送免許を持つに足る」という調査結果を発表した。この調査は、日曜大衆紙ニューズ・オブ・ザ・ワールド記者らが、芸能人や政治家らの携帯電話を盗聴していた不祥事が昨年7月に発覚したことを受け、行われていた。ジェームズ・マードック氏率いる英メディア大手ニューズ・インターナショナルが同紙の発行元であり、その親会社のニューズ社がBスカイBの筆頭株主でもある。オフコムの調査レポートでは、「ジェームズ氏が不正を働いた決定的な証拠はない」としつつ、同氏のこれまでの対応を非難している。さらに、追加調査の可能性についても言及している。ニューズ社はオフコムの決定を歓迎したが、ジェームズ氏への批判は受け入れられないという姿勢を明らかにした。

<各紙の報道>
FTは、ジェームズ氏がアメリカでの事業に軸足を移す可能性について焦点を当てた。オフコムのレポートから、フォックス・ネットワーク・グループにおける同氏の権限拡大を知ったと報じている。7月にも同様の噂があったが、ニューズ社CEOである父ルパート氏は否定していたことを振り返った。関係者の証言も、既に決定しているというコメント、イギリスでの評価が良くなるまで権限拡大は考えていないというコメントの両方を紹介した。

IHTもFT同様、ジェームズ氏のアメリカ進出について詳しく報じた。関係者による賛否両論のコメントを紹介しており、加えて、同氏がフォックステレビのあるロサンゼルスで仕事をすることが多くなっていることも報じた。また、不祥事以前、ジェームズ氏らが120億ドル(約9600億円)でBスカイBを完全子会社化する計画であったことにもふれ、こちらの今後の見通しも不透明だと指摘した。

WSJはまず、ジェームズ氏の経歴を報じた。ジェームズ氏は、2007年にニューズ社の責任拡大に伴いBスカイB責任者の地位を降りたことや、盗聴スキャンダルの対処に失敗して非難を受けたことなどをまとめた。また、メディア業界全体では未だ不祥事が起きていることを指摘した。20日、廃棄された携帯電話やパソコンからデータを抜き取り、不正に情報を収集し他容疑でジャーナリストが逮捕された事件を例として報じた。

<参考リンク>
【特別寄稿】マードック傘下の老舗の英日曜紙が廃刊 〜深刻化した電話盗聴事件でBスカイBの買収も暗雲に?
(小林恭子)

Text by NewSphere 編集部