ロムニー氏の失言、リークされる

18日、ロムニー氏が貧困層を敵に回すような「失言」を行ったと各メディアが報じた。ロムニー氏は、オバマ大統領支持者を“税金を払わず社会保障に依存している”と批判し、彼らの暮らしを気にかけることはしないなどと語った。これは春の選挙資金集めイベントでの発言で、政治問題を得意とする雑誌社マザージョーンズのウェブサイトに掲載された。

<各紙の報道>

FTは、この「失言」がロムニー氏の支持者層にも悪影響を与えかねず、陣営はうろたえを見せていると報じた。ロムニー氏は、貧困層の拡大は確かな事実であり、政府は国民に、社会保障だけでなく雇用の機会を作り出すことが大切だと発言したことを報じた。対してオバマ大統領は、「大統領として学んだことは国全体の代表者になることだ。」と発言したとふれている。

IHTは、ロムニー氏の主張とさらなる失言を取り上げた。ロムニー氏は、政府の責任と社会保障支出が過剰になっている一方、所得税の納税者数は減少している現状を懸念しているとした。ロムニー氏支持者にも社会保障の恩恵を受けている層が幅広くいるため、今回の発言は富裕層に偏った視点理解が足りないという意見も紹介した。なおロムニー氏は、(オバマ大統領支持者が多い)メキシコ人が父だったらこの大統領選は楽勝なはずだと際どいジョークも残していると報じた。さらに、「パレスティナ人は平和を望んでいない」という新たな失言を指摘した。

WSJは、ロムニー氏の発言から、アメリカが直面する課題を提示した。アメリカの債務は16兆ドル(約1300兆円)にのぼり、年々増加している。さらに過去20年間で、所得税納税者が73%から53%に減少、社会保障受益者が30%から47%に増加していることを指摘した。政府の社会保障対策は限界で、対処しきれなくなると表現している。オバマ大統領就任後、支出・社会保障受益者数が増加したことにもふれた。今回のロムニー発言が、選挙戦に際しアメリカ国民が重大な問題を考えるきっかけになったと評価している。

Text by NewSphere 編集部