パネッタ米国防長官来日 日中対立に懸念

パネッタ米国防長官が来日し、17日に玄葉外務大臣、森本防衛大臣と会談を行った。会談では、日本が実効支配し日中両国が領有権を主張する尖閣問題について、「主権に関する紛争では肩は持たない」と発言したが、冷静で自制的な対応を望むと懸念を表明した。また、北朝鮮の脅威が高まっていることに言及し、日本に2基目の対弾道ミサイル「Xバンドレーダー」を設置すると発表した。同長官は19日から中国を訪れ、次期最高指導者に内定している習近平氏らと会談する予定だ。

<各紙の報道>

FTは、パネッタ長官の発言を紹介し、背景にある外交状況についても言及した。まず尖閣問題については、日中両国に「冷静と抑制」を求め、アメリカも巻き込んだ地域紛争になることを懸念しているというコメントを掲載した。北朝鮮に備えた対弾道ミサイルレーダーの配備については、アメリカと同盟国を守るために必要な措置、という趣旨を紹介した。背景として、中日・中フィリピン間で領土問題が激化したのは、アメリカが太平洋の海軍力を強化する方針を掲げてからだと分析している。実際中国は、日本へのレーダー配備を自国への牽制と疑っていることにもふれている。

WSJは、パネッタ長官の発言を詳しく掲載し、反日デモへの中国の対応についても言及した。まず尖閣問題については、日米安保条約に基づく米国の義務を順守することを表明する一方、この問題に関して中立姿勢を保つことを強調した、と報じた。加えて、中国に領土問題解決のための多国間交渉に参加するよう呼びかけたことにもふれている。またレーダー配備に対する中国の懸念にふれており、長官の訪中は波乱を含むとみている。中国の対応については、国営メディアが経済制裁の可能性を示唆するなど、見方によっては激化するデモを抑えこもうとする動きがみられると指摘した。

Text by NewSphere 編集部