イスラム圏で反米デモ拡大

リビアで勃発したアメリカ大使殺害事件やエジプトでの反米デモに続き、13日には、イエメンにおいて、総勢200人がアメリカ領事館を襲撃した。インターネット上で米国人と自称する男により公開された、イスラム教を侮辱するアマチュア映画に対する抗議が契機となっているとみられる。なお、クリントン米国務長官は映画の内容を強く批判している。

<各紙の報道>

FTはまず、この暴動がイスラム教の国々に拡大していると報じた。具体的にはリビア、エジプトをはじめ、イエメン、アフガニスタン、バングラディシュ、イラン、イラク、チュニジアだ。また、エジプトのモルシー大統領が、アラブ諸国は怒りを覚えている、とコメントしたことを紹介した。一方オバマ大統領は、アメリカとエジプトは同盟国だと考えている、とコメントしている。ただ、のモルシー大統領から正式な謝罪がない点は軽率だとアメリカ政府はみていると報じた。クリントン国務長官はモルシー大統領に対し、国を率いる代表として暴力に終止符を打たなければならない、とコメントしたと報道した。

IHTは、事件の発端となった冒涜映画の内容や製作者、リビアでの大使殺害事件の続報を報じた。映画製作者とされるスティーブ・クレンはベトナム戦争の退役軍人で、「クリスチャン・ユナイテッド」という宗教団体の創立者だと紹介した。この団体はモスクとモルモン教寺院で中絶をサポートする団体だと紹介している。クレン氏は、見てもらいたい人に届いた、とコメントしており、実際映画内には暴動を巻き起こすことへの自負を示唆したともとれるシーンがあることを紹介した。また、リビアの大使殺害事件については、襲撃犯たちが大使達の避難場所を把握しており、スパイによって漏れていた疑いを報じた。

WSJは、イエメンの反米暴動とエジプト内政の不安定さについて報じた。イエメンでは、当局が報道関係者の避難を促し、領事館には立ち入りを禁止し、武装部隊を町に配したと報じた。イエメンの米国領事館襲撃では16人の負傷者が出たとレポートした。またエジプトについては、ムバラク政権打倒後の内政の不安定さが浮き彫りになったと分析した。イエメン政権についても同様の状況であり、前政権に反対していた政党が現政権とも争っていることが象徴的だとしている。

Text by NewSphere 編集部