駐リビア米大使殺害 イスラム冒涜映画への抗議か

11日、リビア東部のベンガジで、武装した群衆が米領事館を襲撃し、米国大使1人と職員3人が死亡した。米国で制作されたとされるインターネット上の映画が、イスラム教の預言者ムハンマドを侮辱しているものとみなされ、暴動が起きていた。このような暴力を正当化することはできない、とクリントン米国務長官は非難した。なお、エジプトのアメリカ大使館でも、群衆が反米抗議行動を起こしている。

<各紙の報道>

FTは、北アフリカ諸国の内政再建や外交の難しさを報道した。この事件は、リビアの民主化にあたりアメリカ外交がどうあるべきか問われているとみている。リビア政府は、アメリカ大使殺害を非難している一方、米国は防御を強化しておくべきだったとコメントしていることも紹介した。「どうしてこうなったかわからない」というクリントン米国務長官のコメントを紹介し、今後ますます混乱が予想される内政対策に困惑を覚えているようだとみている。なお、この事件に伴い石油が高騰している。

IHTは、襲撃事件に対するアメリカ政府の対応を詳しく報じている。まず、リビアの大使殺害事件とエジプトのデモとの関連性や、事件の計画性等を調査していると報じた。国務省がリビアに滞在しているアメリカ国民に対し、国外退避を勧告したことにもふれている。各国の米国領事館の防御強化を直ちに働きかけたと伝えている。なおリビア側は、アメリカに映画に関する公式謝罪を要求している。この事件は大統領選に影響が出るとみている。

WSJは事件の経過について詳細に報じた。まず、11日午後8時頃(現地時間)、ロケット砲と手榴弾を装備した200人ほどの男たちが領事館に乗り込み、その後撃ち合いが始まったようだという証言を報じた。午前1時頃、スティーブン大使は近くの病院へ運ばれたが、直後に死亡したと医師のコメントを紹介した。オバマ大統領は事件を受け、FASTと呼ばれる対テロ特殊部隊を送ったとみられる。なお、アメリカの情報機関は、前もって脅迫などの情報を精査し、犯人集団についての捜査を進めている。

Text by NewSphere 編集部