「生徒と先生」から「仏大統領候補とその妻」へ 人気候補マクロン氏の知られざる恋愛遍歴

 「多重婚」問題で世間を騒がせている中川俊直氏が昨日、自民党に離党届を提出した。真面目でクリーンなイメージが求められる政治家に恋愛スキャンダルがあってはならないと、日本のメディアはこの「不祥事」に批判的だ。しかし、恋愛大国フランスでは若干事情が異なるようだ。現在大混戦が予想されているフランス大統領選の世論調査で一番人気の候補、エマニュエル・マクロン氏は、自身が16歳の時に通っていた高校で当時人妻で子持ちの高校教師と恋に落ち、17歳で彼女に求婚、後に結婚しているのだ。若干39歳で、日本で言う恋愛関係のスキャンダルを抱えながらも高い支持率を得ているマクロン氏を見ると、フランスでは「政治と恋愛スキャンダル」が混同されることがないようだ。

◆24歳差!生徒と高校教師、禁断の恋
 フランスはノルマンディー近郊の街、アミアンのブルジョワ家庭に生まれたマクロン青年は、16歳の時に彼が通う高校のフランス語教師兼演劇部教師のブリジットと恋に落ちた。その時彼女は40歳。すでに3人の子供を持つ既婚者で、その子供の一人はマクロン青年のクラスメイトであったとニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は報じている

 当時のマクロン青年について、ドキュメンタリー映画『Emmanuel Macron: The Meteor Strategy』でブリジット本人が次のように語っている。「確かに彼は他の子とは違っていました。 常に教師と一緒だったし、彼は未熟な若者ではなかったわ」(NYT)。

◆17歳で求婚。現在もおしどり夫婦
 24歳差の2人の恋愛は、当時周囲から猛反対に遭い、マクロン青年はその恋愛関係を一時中断するためにパリへ転校することになった。引っ越し前、17歳だったマクロン青年はブリジットに対し、「あなたが何をしようと、僕は必ずあなたと結婚する」とその決意を伝えたと、ブリジット本人がフランスの週刊誌『Paris Match Magazine』に語っている(THE LOCAL)。NYTによると、彼が引っ越した後ほどなくして、ブリジットは当時の旦那と離婚。マクロン青年を追ってパリで教師の仕事を得たようだ。

 約束通り、2人は2007年に結婚し、現在は様々な政治集会やイベントで仲睦まじい姿を見せている。「大勢順応主義への譲歩は絶対にしません」というマクロン氏の口癖通り、彼は恋愛においても、成り行きに任せず自らの意思と力で困難な状況を好転させてきたのだ。

◆ 成り行きに逆らう男、エマニュエル・マクロン
 まるで映画さながら、年齢をもろともせず既婚で子持ちの女性を手に入れたマクロン氏の魅力は、今回のフランス大統領選でも健在だ。テレグラフ紙の世論調査によると、2017年4月21日時点でマクロン氏の支持率は24.0%でトップを記録している。その他の有力候補、極右政党・国民戦線のマリーヌ・ルペン氏=22.1%、中道右派フランソワ・フィヨン元首相=19.6%、左翼党ジャンリュック・メランション=18.9%と、大混戦が予想される大統領選の中、最年少でありながら最多の支持を得ているのだ。

 4月23日に行われる第1回投票で上位2位が決定し、5月7日の決選投票で大統領が決まる今回のフランス大統領選挙。マクロン氏が当選すれば、フランス現代政治史上、既成政党以外から初めて、そして最年少の大統領が誕生することになる。

photo via Wikipedia Commons

Text by 高橋由佳