米軍高官、南シナ海で日本の哨戒に期待 中国紙は猛反発 “日本よ、ヒステリックになるな”
米海軍第7艦隊司令官のロバート・トーマス海軍中将は、中国への対抗措置として、アメリカは日本の南シナ海での哨戒を歓迎するだろう、と述べた。ロイターがインタビュー記事として報じた。日本が、南シナ海まで航行できる新哨戒機P-1を配置させようとしている、とも報じている。
◆米国は日本の役割に期待
司令官は、下記のように語っている。
・南シナ海で領有権を主張し強硬な行動に出る中国は脅威であり、中国の漁船や沿岸警備隊・海軍は、周辺諸国に勝る
・南シナ海の友好国は、日本に安定機能としての役割を、より大きく期待するようになるだろう
・米海軍も、日本が対抗勢力となることを歓迎する
南シナ海は年間5兆ドルもの貨物が行き交う海上交通路の要所であり、海域の安全は日本にとっても必須だ。ただし、日本は南シナ海の問題には直接的に関与しておらず、パトロールの意志を示したことは一度もない。フィリピンとの防衛協力など、間接的な支援は行っている。29日には防衛相会談が都内で行われ、共同訓練の促進などを確認した。装備、訓練、オペレーションなどの課題に対し、日本は完璧な支援ができる、と米海軍出身で日本戦略研究フォーラムの研究員、グラント・ニューシャム氏は語っている(ロイター)。
またロイターは、司令官の発言が、安倍政権の安全保障政策への米国防総省の支持を示す、とみている。
◆中国紙は猛反発
これに対して、人民日報英字版『グローバル・タイムズ』は、日本の南シナ海への哨戒拡大に対し、社説で猛反発を示した。
同紙は、たとえ南シナ海が日本経済にとって重要な意味を持っているとしても、干渉すべき理由はないと語る。さらにアメリカ政府に対しては、軍事的な競争を激化させるために日本を引きずり込む権限はない、と批判した。
もし日本が行うならば、防空識別圏やロシアとの軍事協力など、中国の対抗措置に直面するだろう、とも脅迫している。「日本はヒステリックになるべきではない」、「日本に冷静な対応を願う」と、自重を促してもいる。
◆東南アジア各国との緊密な協力が現実的
外交誌『ザ・ディプロマット』は、日本の南シナ海での哨戒の見通しは非現実的、と報じている。
日本の南シナ海での哨戒は、間違いなく日本と中国の緊張を高める。すでに脆弱な地域を、さらに不安定化させる可能性が高い。より現実的な可能性は、日本がフィリピンやベトナムなどと、安全保障面でより緊密に協力することだ、とみている。