イスラエル紙、日本の“国際刑事裁判所への圧力”に期待 パレスチナの加盟申請めぐり

安倍首相とネタニヤフ首相

 中東訪問中の安倍晋三首相は、18日にイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談。地域の安定や和平の促進、日本とイスラエルの経済関係強化が訪問の目的だ。

 イスラエルのオンライン・メディアArutz ShevaとAFPは、パレスチナ自治政府がイスラエルによる戦争犯罪を国際刑事裁判所(ICC)に訴えた動きに対する日本の反応に注目しているが、エルサレム・ポストはイスラエルの市場多角化の相手国として可能性を秘めた日本に期待を寄せているようだ。

◆パレスチナの動きに対する牽制を期待
 中東を歴訪中の安倍首相は、18日にイスラエルのテルアビブに到着。イスラエルとパレスチナ自治区の3日間訪問をスタートさせた。

 Arutz ShevaとAFPは、安倍首相の到着が、パレスチナ自治政府がイスラエル指導者の戦争犯罪を国際刑事裁判所(ICC)に訴えたことを受けて、ICCが予備調査を始めたと発表した2日後であることを伝えた。

 パレスチナは1月2日にICCへの加盟を申請しており、4月初旬に正式に加盟する見通しだ。パレスチナは同時に、イスラエルが行ったガザ地区への攻撃を含む期間(注:2014年6月)にさかのぼってICCの管轄権を受け入れるため、ICCはガザ攻撃についての予備調査を始めた(Arutz Sheva)。

 イスラエルとアメリカは、パレスチナのこの動きに対して激しく非難しており、イスラエルは同盟国に対して国際刑事裁判所への拠出金を減らすようロビー活動を行うと表明している(AFP)。

 日本も国際刑事裁判所に加盟しており、最大の分担金拠出国であるため、複数の現地メディアは、ネタニヤフ氏がこの件について、安倍首相と話し合う予定であることを伝えている。NRG(マアリブ紙)は、ネタニヤフ首相が、安倍首相に国際刑事裁判所にイスラエルだけとやり玉に挙げ続けるのは受け入れがたいというメッセージを伝えるようあらゆる手段を取って欲しいと要請する見通し、と会談前に報じている。

◆脱西欧依存、アジア市場開拓へ
 エルサレム・ポスト紙は、日本との経済関係強化について重点的に報じている。

 ネタニヤフ首相が、安倍首相の訪問前に「西欧は、イスラム化、反ユダヤ主義、反シオニズムの波に覆われている。こういった波は西欧を飲み込んでおり、われわれはイスラエルが世界各地に多様な市場を持ちたいと望んでいる」と述べたことを伝えている。

 2009年以来、ネタニヤフ首相はアジアとのより強い結び付きを求めて働きかけている。主な理由は最大の貿易相手であるEUの不況によるものだが、近年見られるヨーロッパのイスラム化、反ユダヤ主義がその動きをさらに加速させていることを伝えている(エルサレム・ポスト)。

 日本とは、「経済、技術、その他の分野の多くで、協力できるものがあると思う」とネタニヤフ氏は述べ、日本との協力関係に大いに期待を寄せていることを示した。

Text by NewSphere 編集部