沖縄振興予算減額も“知事の姿勢関係なし”と政府断言 財政難が理由と説明
14日、総額で過去最大の96兆3420億円となる、平成27年度の予算案が閣議決定された。海外メディアは、沖縄振興予算と防衛費に注目している。
◆減額は知事のせい?
ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、今回の予算案は社会保障と防衛支出に重きを置いたものと述べるが、沖縄に配分する額が160億円減額され3340億円となり、この5年間で初めてのことだと報じている。
海外メディアは、昨年11月の選挙で当選した翁長新知事が、普天間基地の辺野古移設に反対していることに注目。今回の振興費の減額に影響を及ぼしたのではと見ている。
◆菅官房長官は否定も、知事は冷遇
WSJは、基地関連の騒音、事故、犯罪への不満から、地元住民が閉鎖と県外移転を求めてきた普天間基地は、長らく日米間の触れられたくない場所であったと指摘する。しかし、1996年の日米合意で移設が決定。反対運動も起こったが、2013年末に仲井間前知事によって、移転先である辺野古沖の埋め立て計画が承認された。
安倍政権は、中国が尖閣の領有権を主張するなか、アメリカとの絆を強化するため、移転計画の前進を望んでいる(WSJ)。仲井間氏の承認を得たことで、やっと17年間の争いに終止符が打たれるかと思われたが、計画に反対する翁長氏が当選し、安倍首相にとっては、事態が後退する結果となった(ブルームバーグ)。
記者会見で、菅官房長官は、過去に配分された振興費で余剰金が出ていることから、減額は適切と述べ、「国の財政難を考えれば査定は単に当然なこと」と説明(WSJ)。振興費の減額は、翁長知事の姿勢とは何ら関係がないと述べた(ブルームバーグ)。
しかしWSJは、安倍首相や菅官房長官も含めた政府要人は、だれも翁長氏と面会しなかったと指摘し、翁長氏が冷遇されていることを示唆している。ただし、政府はアポイントの調整がとれていなかったと説明している。またWSJは、菅官房長官が14日の記者会見で、近々翁長氏と会う「予定はない」と述べたことを報じている。
◆防衛費増額は日米同盟と中国を意識
星条旗新聞は、防衛費が昨年から2%アップしたと述べ、約4兆9000億円という記録的数字となったことを報じている。装備品を購入し、陸海空の能力を向上させ、自衛隊の軍事行動への準備を強化する目的があると同紙は指摘。これは南シナ海で島嶼基地を建設する中国の存在を意識し、日本南部の諸島近くでの衝突が、より頻繁になることを想定しているからだと説明する。
購入が予定される装備品は、P-1哨戒機20機(3504億円)、F-35A戦闘機6機(1032億円)、滞空型無人機(グローバルホーク)システム(154億円)、V-22オスプレイ5機(516億円)など。日米同盟と米軍再編へも、海兵隊のグアム移転に17億円、厚木から岩国飛行場への空母艦載機の移駐等に1021億円と、かなりの額が割り当てられている。
さらに、普天間の辺野古移設には1736億円の投入を予定。菅官房長官は、翁長知事の反対とは関係なく、政府は計画を進める考えであることを示した(WSJ)。