安倍首相の「ウーマノミクス」は矛盾だらけ? 減少する女性議員数を海外紙が指摘
14日に行われる総選挙を前に、安倍政権が女性の活躍をうたう「ウーマノミクス」について議論が高まっている。
安倍政権は2020年までに女性管理職を30%にすると約束しているが、今回自民党が擁立する候補者352人のうち、女性はわずか42人と12%以下。今回の選挙で最も女性候補の割合が多いのは共産党で、315人中79人。次いで民主党で、189人中29人となっている。
◆安倍政権が掲げる「ウーマノミクス」の矛盾
安倍首相が9月の内閣改造で過去最高タイの5人の女性を登用したとき、ヒラリー・クリントン氏などから国際的に賞賛を受けた。しかしそのうち2人が辞任するなど、女性国会議員の割合は2年前の就任以来急減している。
14日の選挙でも女性候補は少なく、これは安倍首相が掲げる「ウーマノミクス」の空虚さを反映しているとガーディアン紙は指摘した。「政界に進出したい女性は、(男性優位の)特別に厚い壁を破らないといけないため擁立されるのは難しい」、「ウーマノミクスは実は女性の社会的地位向上ではなく、安倍氏の成長戦略のために使われていない資源を動員すること」であり「(安倍首相は)男女格差について本当に心配はしていない」とする同志社大学の浜矩子教授のコメントを同紙は掲載した。
◆男性天国の自民党では改革はムリ
ブルームバーグは、新潟4区で争う元ミスの経歴を持つ自民党前職の金子恵美氏と、「STOP! アベノリスク」を掲げる民主党前職の菊田真紀子氏を取り上げ、男性が支配する日本の政界で「珍しく」女の戦いが行われていると報じた。今回の選挙では全国で女性同士の戦いが多くみられる。
金子氏を応援する自民党の野田聖子前総務会長は「国会は昔も今も男性主導で、男性天国の自民党が率いている」と演説。そのために「日本の低い出生率のリスクが無視されてきた」「男性だけでは変えるのは難しい。女性の力が必要だ」と訴えたという。
◆日本は構造的に女性昇進は難しい
英BBCは、13年春に多くのお金を日本に放出し、今年4月に消費税を8%に増税した安倍政権は、一度にアクセルとブレーキを踏んだようなものだと矛盾を指摘した。
その上で、日本の女性1人あたりの出生児数1.3人という数字はヨーロッパ並みか、それより高いくらいだと言及。ただヨーロッパ諸国は労働力輸入で人口減少を阻止しているが、日本は大規模な移民に頑なに反対していると、構造的な問題を提起した。
さらに日本は世界でも高学歴の女性が多いが、飲み会が昇進につながるなど、日本特有の仕事文化のせいで結婚後はその才能が無駄に終わりがちだと指摘。日本で女性管理職が30%となるのは不可能だろうという見解を示している。