海外紙“日本の野党、安倍政権批判の受け皿になれず” 自民一強時代の再来へ

 衆議院選挙が2日に告示され、14日の投開票に向けて各党の選挙戦が始まった。安倍首相は自らの経済政策「アベノミクス」の是非が選挙の争点となる、としている。

 NHKが先週実施した調査によると、安倍首相の支持率は1ヶ月で8%下落し44%に落ち込んだ。首相就任時の60%台に比べると大幅な低下である。経済が後退し、支持率が落ち込む中、状況がさらに悪くなる前に賭けに出たのでは、とワシントン・ポスト紙(WP)は指摘している。

 安倍内閣への支持率が下落しているにもかかわらず、野党は有権者の不満の受け皿の役割を果たしていないようである。

◆選択肢がない
 日本経済新聞が先月24日に発表した世論調査(全国の成人男女を対象、回答率63.9%)によると、「アベノミクス」を「評価しない」と回答した有権者が51%で、「評価する」の33%を上回った。しかし、アベノミクスを「評価しない」と答えた層でも、衆議院選挙では自民党に投票する、との回答が19%で民主党の14%を上回った。

 内部分裂し、情報力にも資金力にも乏しい野党は、「アベノミクス」の選択肢になるような経済政策を作り出せない、とフォーブス誌(Stephen Harner氏)は指摘している。

◆有権者の関心は経済と雇用
 解散前、自民党は295議席、公明党は31議席確保しており、合計346議席で、定数480の3分の2(320議席)を超えていた。2年前の選挙で大幅に議席を失った民主党など野党は、原発再起動や集団自衛権など議論の多い問題に有権者の目を向けさせ、与党の過半数状態を解消したいかもしれない。しかし直近の調査によると、有権者の主要な関心事は経済と雇用であり、安倍首相の思惑通り、とAPは指摘している。

 前述の日経新聞の調査によると、衆院選で投票したい政党や投票したい候補者がいる政党は、自民党が35%で最も多く、民主党が9%で続いた。維新の党と公明党、共産党が3%で、生活の党と社民党は1%。「まだ決めていない」は30%であった。

◆自民党一党支配時代に舞い戻り
 選挙では安倍首相の自民党が過半数を獲得するだろう、とWPやAPなど大半の海外メディアは予測している。2009年から2012年に行われた、自民党と民主党の「二党政治」実験が失敗に終わった後、日本は慣れ親しんだ自民党一党支配の政治に舞い戻ったようだ、と前述のフォーブス記事は指摘している。

 安倍首相が選挙で大勝利をおさめたなら、2018年まで政権の座に座り続けると予想されている、とWPは結んでいる。

Text by NewSphere 編集部