“成長戦略の徹底を” 海外誌、与党勝利を見越して日本経済に提言
12月14日に予定されている衆議院総選挙について、海外各紙がその見解を繰り広げている。
すでに過半数を持っている中でなぜ選挙をするのか。海外メディアは総じて「勝てるうちにあともう4年の任期を確保するのが目的」というのが共通の見解のようだ。
◆なぜ総選挙?
安倍首相はなぜ総選挙を行うのか、その本意をわかっている者は日本人でも少ない、と『Eurasia Review』は述べている。
17日に発表されたGDPはマイナス1.6%、円安は進んでいるのに輸出は伸びていない、国の借金は膨大という状況である。これでは与野党交替も起こりうると考える者もいるかもしれない、と同メディアは言う。しかし、最大野党である民主党の獲得票は20%以下になると見込まれており、その他の野党は仲間割れなどで生き残りすら必死という状態だ。つまり、安倍首相は再び首相として戻ってくる見込みが高い。
つまり、「自衛隊権限拡大」および「原発再稼働」に向けた来年の闘いに備え、勝てるうちにあともう4年の安泰を確保することが本当の目的だと同メディアは言う。
◆唯一のリスクは
ドイツの国際公共放送『ドイチェ・ヴェレ』もやはり同様の見解である。読売新聞の世論調査によると安倍内閣の支持率は41%と就任以来の低さだが、それでも野党よりは高い。
これは単なる無駄遣いか、それとも賢い政治判断か。それは安倍首相に対する考えで見方が異なるという。明治大学国際総合研究所の奥村準客員教授は「反安倍派は税金の無駄遣いと言うだろうし、賛成派は見事な政治手腕と言うだろう」と語っている。
◆再選後の行方
英エコノミスト誌もやはり「来年の防衛問題および原発再稼働問題に関する闘いに備え、野党が十分な候補者を立てるゆとりもないうちに更なる4年の安泰を確保しておくほうがいいというのが政府の計算で、議席は30や40減るかもしれないが、それでも過半数は確保できる見込みだ」と伝えている。
再選後も金融政策は緩和の方向で進むだろうが、いわゆるアベノミクスの効果は弱まるかもしれない、と同誌は言う。同誌はこれまでアベノミクスを支持してきたが、4月の消費税増税については「失敗」と断じ、「景気の回復前に財政再建を試みると悲惨なことになるというのが証明された」と斬っている。
長い目で見れば、古いやり方を刷新できるリーダーが登場して初めて日本は成長できる。偉大なリーダーは、リスクを取らなくてはならない。安倍首相は斬新なアイデアを持っているものの、そのための政治的リスクをとる器がない、というのが同誌の見解のようだ。