高市総務相、靖国参拝を明言 “驚きはない”と米紙 日中関係への影響は?
高市早苗総務大臣は14日、17日に始まる秋季例大祭に合わせて靖国神社を参拝する考えを示した。9月の内閣改造後、大臣が靖国を訪問するのは初めてとなる。
おそらく大臣を含む数十人の政治家たちが、17日に靖国神社への参拝を計画しているようだ。しかし、安倍晋三首相は今回の参拝は見送るだろうとみられている。
◆「靖国参拝は個人の問題」
高市氏は、「毎年春と秋、その他の特別な機会に、犠牲となった御霊に感謝と敬意を表してきた」「自分に正直でいたいし、ひとりの日本人として参拝は続けたい」(ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)と述べた。
高市氏の靖国参拝について、質問を受けた菅義偉官房長官は、参拝を行うかどうかは個人の問題として各閣僚の判断に任せている、と答えた。「諸外国でも、自国のために犠牲となった人々に心からの哀悼の意を示し平和を祈る、そのような機会を持っている」(WSJ)
菅氏は、高市氏の参拝による外交への影響はあまりないだろうとしている(AFP)。
◆安倍首相は中国に配慮
高市氏の発言は、習近平国家主席との首脳会談実現に向かって、関係者が努力を続けている中でのことだ。日本と中国は、尖閣諸島領土問題と、戦時中の行為に対する日本の立場を巡り対立し、2年近く首脳会談が持たれていない。両政府は現在、11月に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合に合わせ、会談を実現させようと動いているようだ。
2013年12月の参拝で中国と韓国を激怒させた安倍首相は、首脳会談実現を念頭に今回の参拝を見送ることが予想されている。なお首相は、イタリアのミラノで16、17日に開催される、アジア欧州会議(ASEM)首脳会議に出席するため15日に日本を立つ。
AFPは、安倍首相の参拝見送りで、今後は閣僚たちの動きに関心が集まるだろう、とみている。
◆「驚きはない」
高市氏は、女性の社会進出促進を掲げる安倍首相が、新しく任命した5人の女性閣僚のうちのひとりだ。しかし、高市氏を含むそのうちの何人かは、ここ数週間、あまりにも保守的な見解を持っていることが明らかになり、国民から厳しい目を向けられている。彼女らは過去に撮影されたネオナチ組織メンバーとの写真が流出。高市氏は、一緒に写った人物について当時はよく知らなかったと釈明した。
日中関係改善の動きが進む状況下でも、高市氏の靖国参拝は驚くようなことではない、とWSJは報じている。同氏は、外交と社会問題に関して、保守的な考えを持っていることが知られていて、8月に参拝を行った3人の閣僚のうちの1人でもある、と同紙は指摘した。
保守派の政治家として、安倍首相に近しい支持者として、高市氏は終戦70周年を機に、従軍慰安婦問題について河野談話に代わる新たな政府見解を示すべきと公に発言している、と中国国営新華社通信は報じている。
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