女性の労働参加の効果、高齢化で打ち消される? 海外紙には懐疑的な見方も
9月12日から14日の日程で国際会議「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム(略称:WAW! Tokyo 2014)」が開催されている。日本を「女性が輝く社会」にするという安倍晋三総理のイニシアチブの下、世界各地から政治リーダーやビジネスリーダーが招かれ、女性の活躍促進のための方途が発信される。
【女性活用のリターン】
12日には、安倍昭恵総理夫人とシェリー・ブレア氏(元イギリス首相夫人)の特別対談が開かれた。シェリー・ブレア氏は、発展途上国の女性企業家を援助するNGOを主催している。
女性フォーラムのようなイベントは、日本や世界の女性に対する見方を変化させる上でどんな意味があるのかという問いに対して、女性が社会や経済で果たす重要な役割に指導者達が気付き始めている、とブレア氏はドイツのドイチェ・ヴェレに答えている。女性に公平な機会が与えられないため、経済自体が多くの利益を得損なっている、と同氏は指摘している。
女性企業家に投資することにより、新しい雇用、収入の増加、社会への貢献が生み出される、とフォーブス誌は指摘する。世界各地の教育機会に恵まれない女性を対象に、ビジネススキルの訓練やアドバイスを提供するゴールドマンサックスの「10,000 Woman」(一万人の女性)プログラムは大きな成功を収めている。
【官僚の働き方改革】
霞が関でも、女性達が子育てと仕事を両立できる職場を目指し、立ち上がった。今年2月に、女性職員の管理職養成研修に参加した女性官僚たちだ。
女性官僚特有の問題や将来について話し合う中、「つぶやいているだけでは物事は変わらない。何かアクションを起こしていこう」と厚労省の河村のり子補佐(38)が声を掛けたのがきっかけだった、とブルームバーグは報道している。
彼女たちは「働き方改革」について30ページの提言を取りまとめ、今年6月、内閣人事局長の加藤勝信官房副長官に提出した。在宅勤務の導入や勤務時間内での業務処理など、家庭を犠牲にし深夜までの長時間労働を余儀なくされる生活を改善するための10項目の具体策が盛り込まれた。
【高齢化問題で女性活用の経済効果は帳消しに】
女性活用が政府の成長戦略として掲げられている一方、より大きな問題があるため、期待されたほどの経済効果は出ないとの見方もある、とウォール・ストリート・ジャーナルは報道している。その大きな問題とは、高齢化である。
RBS証券のエコノミストによると、2013年に65%だった15~64歳の女性の労働参加率が2030年に73.5%に上昇したとしても、日本の潜在成長率はわずか0.14ポイントしか上昇しないとみている。しかもその上昇分でさえ、人口の減少とともに結局は帳消しになるだろう。
BNPパリバのリポートも、「人口動態を考えれば、労働力人口の減少は避けられない。だから女性の就労が経済成長率に大きな影響を与えると期待するのは非現実的だ」と述べている。
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