プーチン訪日延期 北方領土などで軍事演習も…対日圧力? 海外紙も注目
今秋に予定されていたロシアのプーチン大統領の訪日が延期となる可能性が高まっている。ウクライナ問題で、西側諸国とともに、日本がロシアに制裁を課しているためだ。ロシアとの関係改善を望む日本にとっては、苦しい展開となった。
【延期はほぼ確実】
ロイターは、駐日ロシア大使が「訪日準備のため、とても明確な予定表を作成した。残念ながら、そのスケジュールはすでに動かされてしまった」と政府系のロシア新聞に述べたことを報じており、訪日延期の可能性が非常に高いとみているようだ。「行くか行かないかは大統領が決めるだろう」とのロシア大使の発言、また、クレムリンの報道官からコメントを得られなかったことを、併せて伝えている。
ロシアがクリミア半島を3月に併合し、ウクライナ東部の親ロ派とのつながりもあることから、日本は西側諸国とともに、ロシアに制裁を課している。しかし、日本の制裁はアメリカやEUよりも軽いとロイターは指摘。安倍首相が、北方領土問題があるにも関わらず、エネルギーや経済でロシアと親密なつながりを作ろうとしており、ロシアのご機嫌を伺おうとしていると述べている。
【制裁に不満】
ロシア国営RIAノーボスチ通信は、森喜朗元首相が10日にプーチン大統領と会談し、安倍首相からの親書を渡したこと、また会談後の11日の会見で、菅官房長官が日露関係を発展させることが国益に則していると発言したことを報じた。菅氏によれば、プーチン氏は森氏に「日本との対話は続ける。そして続けることが必要だ」と述べたという。
RIAノーボスチは、クリミア、ウクライナ東部の問題に関与する個人や団体に、追加で制裁を課すことを日本の内閣が承認したことを、ロシア外務省は非友好的と捉えていると指摘。西側の制裁参加後に悪化したロシアとの関係改善を望むなら、新たな制裁により日露関係が後退するということを、日本は良く考えるべきだと警告している。
【軍事演習を拡大】
一方ロシアは、西側の制裁にも関わらず、大規模な軍事演習を極東にまで拡大してきている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、プーチン大統領は東シベリアからカムチャッカ、日本の北方にまで及ぶ広範囲での軍事演習を11日に命じた。これには非軍事的政府機関の点検までも含まれ、「戦時の任務履行の準備」を確実にするため、とロシア国防相は説明している。
ロシアは、ヨーロッパ側でも今年初めに同様の演習を行っており、これがウクライナへのロシアの介入の脅威を高めたとされる。ロシア側は繰り返し、ウクライナへの部隊の派遣計画は否定している(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)。
10日には、プーチン大統領は、防衛費を調整する政府の主要組織のトップに自らを指名。今後6年間に何百億ドルも費やし、主要な兵器増強を行うことを約束した(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)。
ロシア 利権闘争の闇: 迷走するプーチン政権 [amazon]