防衛省、過去最大5兆円の予算要求 離島防衛強化の動き、海外メディアも注目
防衛省は2015年度予算の概算要求で、過去最大規模となる5 兆545億円を要求することを決めた。概算要求額は過去最大だが、政府専用機の導入経費542億円や在日米軍再編の地元負担軽減分の関係経費などを除くと実質4兆8994億円で、対前年度比2.4%増となった。
【離島防衛強化】
日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。 なかでも、中国は海上・航空戦力を急速に増強し、東シナ海の空海域での活動を拡大している。今回の予算の大部分は東シナ海における離島防衛に当てられる、とアメリカの星条旗新聞は報道している。
東シナ海での監視や偵察を想定する無人偵察機「グローバルホーク」を3機、最新鋭のステルス戦闘機「F35」を6機、導入する。
P1哨戒機は20機をまとめて調達する。星条旗新聞によると、最新鋭の哨戒機は、8月19日に中国の戦闘機がアメリカ海軍の哨戒機Poseidon P-8に空中で異常接近した際に、世界的な注目を集めた。川崎重工業が生産するP1哨戒機は今の主力機P3Cの後継で速度や航続距離、レーダーによる潜水艦などの探知能力に優れる。
隠密性の高い最新鋭のそうりゅう型潜水艦の建造費として644億円が計上された、とロイターは報道している。新しい潜水艦は鉛蓄電池に代えてリチウムイオン電池を搭載し、長期間の潜航を可能にする。これまで最大2週間程度だった潜航期間が「格段に伸びる」(防衛省関係者)。オーストラリアも従来のコリンズ型潜水艦の代替として導入に関心を示している。
【防衛強化の安倍政権】
国防増強に積極的な安倍晋三内閣は、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈を承認し、武器輸出も緩和した。防衛力強化と武器輸出緩和を受けて、防衛産業が堅調な業績を見せている。
三菱重工業は米防衛大手レイセオンが開発するミサイル向けに赤外線センサーを製造する、とウォールストリートジャーナル紙は報道している。レイセオンはこのミサイルをカタールに輸出する。このほか、オーストラリアとは次世代潜水艦技術の開発で協力し、インドには救難飛行艇「US-2」を15機販売する。
ブルームバーグによると、防衛関連株が日本株の指標TOPIXや欧米の軍需関連銘柄を上回るパフォーマンスとなっている。 日本の防衛関連銘柄の指数はゴールドマン・サックスが新たに発表したもので、三菱重工業や川崎重工業、東芝など20社で構成されている。
チーフ日本株ストラテジスト、キャシー・松井氏率いるゴールドマンのアナリストらはこの新しい指数を公表した調査ノートで、「防衛が日本市場における長期的なテーマになると見込んでいる」とコメントした。
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