終戦の日 各紙の社説は? 朝日は、集団的自衛権に断固反対 毎日・読売は容認

 本日、69回目の終戦記念日を迎え、日本主要各紙(朝日・読売・毎日・産経)はどのような社説を掲載したのか。各社説の要旨をまとめ、比較したい。

【「お守り言葉政権」】
 朝日新聞は、集団的自衛権行使容認を軸に、安倍首相の政治姿勢を批判する内容だ。同紙は、安倍首相が、戦中の「国体」、「翼賛」などの「お守り言葉」のように、「積極的平和主義」、「美しい国へ」、「アベノミクス」という言葉を巧みに使っているとする。何度も繰り返し使用することで、単なる飾りに過ぎなかった言葉はやがて実力をつけ、国民を黙従させる力を持つという。その「お守り言葉」によって集団的自衛権行使容認や特定秘密保護法などの重要な決定を強行し、決着後には、「説明をして理解を得る努力をする」と繰り返すだけで、実際にはその責任を果たしていないと断罪している。

 社説の最後に、国民は「お守り言葉」に対抗するために、自分の頭で考えた言葉で話す必要があると同紙は説いている。

【戦争を忘れるな】
 毎日新聞は、終戦後約70年経過し、戦争が国民の記憶の中で風化しつつあることを危惧する内容だ。日本やドイツの文学作品にある、戦争の悲惨さを伝える描写を紹介しつつ、記憶の継承の重要性を訴える。同時に日本の場合は、加害の責任を忘れてはならず、アジアの死者を哀悼する誠実さを身に備える必要があると説く。
 
 集団的自衛権には簡単に触れ、「やむをえない戦争もある。軍事的抑止力を持つことは、平和のためにも必要だ」と、一定の理解を示す。

【守られるに値する国に】
 読売新聞は、集団的自衛権行使容認を支持する内容で、稿を埋めている。同紙は、集団的自衛権の新見解を、戦争の可能性を極小化するものと説く。中国、北朝鮮の脅威が増すなか、新たな情勢に対応できる防衛体制の確率が急務とする。これまでの日本の安全は、日米同盟の賜物であり、今やアジアの「公共財」として認知され、今回の新見解も、中韓を除く大半の国で支持されたと続ける。

 反対派に対しては、「憲法9条を守る」と唱えるだけでは平和は維持できない、徴兵制復活は、憲法で否定されており、あり得ないと述べている。

 今後は、守られるに値する国になるため、米国を助け、国際社会に貢献していくことが必要であるとしている。

【靖国論争に終止符を】
 産経新聞は、国内外の靖国参拝是非をめぐる論争について稿を割いている。靖国参拝は、戦没者への哀悼の表明であって、中韓が靖国神社を「軍国主義の象徴」と糾弾するのは誤りであると述べる。

 論説の最後は、先日の朝日の慰安婦報道の撤回に触れ、今こそ「歴史認識」の見直しが必要と説く。靖国論争も終止符を打つ時にきているとして、中韓に理解を呼び掛けている。

 集団的自衛権行使容認方針が打ち出されてから間もないこともあり、産経新聞以外は、集団的自衛権に触れるものであった。反対の朝日、賛成の読売、一定の理解を示した毎日という構図である。

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Text by NewSphere 編集部