安倍首相のコロンビア訪問、地元紙も歓迎 資源開発など投資拡大に期待
コロンビアは19世紀に僅か12年間ではあるが、シモン・ボリバルの提唱によって現在のベネズエラ、エクアドル、パナマを含む「大コロンビア」と呼ばれたコロンビア共和国として存在した歴史をもつ国である。
現在のコロンビアは南米でNo.2のコーヒー生産国で、その輸出の64%は米国、日本、ドイツ向けである。またエメラルドは世界でNo.1の産出国でもある。そして政治は安定しており、ここ3年間のGDPは年率成長4.9%である。
【安倍首相の訪問目的への疑問があった 】
安倍首相のコロンビア訪問前は、同国のエル・ティエンポ紙の記事のタイトルにあるように「日本の首相、安倍晋三は何を求めてコロンビアを訪問するのか?」という疑問があり、安倍首相の訪問目的が明確には見えていなかったようである。
同紙は、安倍首相が中南米の歴訪でコロンビアかペルーのどちらを選ぶか疑問をもっていた、とし、コロンビアを選んだのは現在進めている両国の経済連携協定(EPA)を合意に導くためと、太平洋同盟における同国の重要性に重きを置いたものと思える、と予想していた。
また同紙は、コロンビアからは1989年のバルコ大統領から始まって、現サントス大統領まで5人の大統領が訪日しており、25年経過した今、両国の互恵関係に応えるべく、日本の首相が初めて訪問することになった、とも報じていた。
【経済連携協定合意へのスピードアップ】
29日の安倍首相とサントス大統領の2時間の会談の後の共同記者会見で、サントス大統領は、両国の国交は106年の歴史を持つ、と述べ、安倍首相がコロンビアを今回の訪問先に加えたことに謝意を伝えた。安倍家が3代に渡ってコロンビアを訪問したことで、より親近感をもってお迎えした、と述べた後に「日本はアジアで最大のコロンビアへの投資国である。この投資をさらに多くの分野において増やすべく、投資の自由化と保護に関する両国の協定は既に議会で承認され、現在憲法裁判所の承認を待っている」と続けた。
さらに「日本は我国が必要とするものを数多く持っており、日本が必要とするものを我国は多く持っている。その意味で巨大な潜在的可能性がある」とも述べている。
一方の安倍首相は、コロンビアがメンバーである太平洋同盟の最初のオブザーバーを日本が務めたことから同同盟の発展に協力すること、そして現在両国で交渉を進めている経済連携協定(EPA)についても早急の合意に向け努力をすることを約束した。また両国の懸案となっているTPPへの参加においても協力を進めていくとした。
経済連携協定については、現地のLR紙でも伝えられているが、2012年からの交渉開始から既に7回目の交渉に入っており、コロンビア政府側ではこの案件を早急に合意に導き、日本からの積極的な投資を促したいという思惑がある。
また左翼ゲリラ、コロンビア革命軍(FARC)と50年続いている戦いを終わらせるべく、サントス大統領主導で進められている和平交渉に対し、安倍首相が支援を表明したことも同大統領を喜ばす要因になった。サントス大統領はこの和平交渉に政治生命を懸けており、つい最近の大統領選挙でも、国民は彼の和平交渉に取り組む姿勢を支持して、再選の後押しをした。
【日本側が石炭の採掘に関心を示す】
現地のLR紙は、今回の安倍首相の訪問で日本側は天然資源開発への投資を強く望み、環境を保護しながらの石炭採掘と精油関係に関心を示している、と報じている。さらに同紙は、日本は気候変動に対する取り組みへの協力姿勢を示している、としている。最近のコロンビアは干ばつの被害が甚大であることもその背景にある。