「日本はアジアでリーダーシップをとるべき」 野心むき出し中国への対抗、海外識者が説く
領土問題、歴史認識で緊張の続く日中関係。世界に影響力を拡大させる中国に、日本はどう対応していくのか。海外メディアが二人の学者の見方を紹介している。
【日本は地域のリーダーに】
地政学と経済問題の専門家、リチャード・ジャバット・ヘイダリアン氏は、日本の地域におけるリーダーシップに期待し、近隣国と協力し、中国を牽制していくことに賛成している。
同氏は、外交専門誌のナショナル・インタレストにて、アメリカが防衛費を削減する今、日本はこれまでのような安全保障上の「タダ乗り」は許されず、防衛面では自らを頼りにせざるを得なくなったと指摘。集団的自衛権行使に関し、中国からは軍国主義回帰と中傷を受けているが、「普通の国」へのステップだと理解を示す。
同氏は、中国に対する戦略的不安を共有するフィリピン、ベトナム、オーストラリア、インドなどと日本が防衛技術の面で協力し合うことで、地域の非公式な同盟のネットワークを構築することができると述べる。
さらに、日本の大東亜共栄圏構想は悪夢に終わったものの、20世紀最後の数十年は、地域の経済発展の主要エンジンとして、東南アジアの発展を促進し、貿易と経済外交を核としてアジアに影響を与えてきたとしている。
中国がその領土的主張を大いに強めた結果、アジアのために日本がリーダーシップを取る道が再び開かれたのだと、同氏は述べている。
【日本のレイシズム】
一方で、中国に対する日本の偏見や優越感という視点から、日本の対中政策を論じている専門家もいる。
政治学者で著述家のピーター・バオフ博士は、アメリカの外交情報サイト『フォーリン・ポリシー・ジャーナル』にて、「日本の対中政策に見える差別と劣等感」と題する記事を発表。ここ最近の安倍首相の対中政策は、日本人の精神状態が危機的状況にあることを表しているという。
同氏の論によると、近代以前は中国王朝の文明の影に隠れ、遅れた国だった日本は、明治維新後の近代化で、西洋の植民地帝国主義ゲームに仲間入りを果たした。日中戦争に勝利し、1930年代に中国大陸の一部を侵略支配した日本は、中国を見下すようになった。
近年、中国は急速に経済発展し、世界第2位の経済大国となり、外交、軍事、文化的にも影響力を高めている。同氏は、衰退する日本は、中国に対抗しようと手を尽くすだろうが、そのうち、中国に対して劣等感を抱くようになるだろうと述べる。
ヘイダリアン氏の意見とは異なりバオフ氏は、日本は中国には及ばず、アジアのリーダーシップは取れないと示唆している。