「男の絆」日米防衛相に芽生える…米紙報道 米兵器導入の日本を、韓国紙は警戒
小野寺五典防衛相は13日、8日間のアメリカ訪問を終えた。ワシントン・ポストなどの現地メディアは、この間に行われたヘーゲル国防長官との会談や自衛隊に導入予定のMV-22オスプレイに試乗したこと報じた。その中で、ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)は「ヘーゲルと小野寺の“ブロマンス”(男同士のラブロマンス)が芽吹いた」という表現で、日米が軍事的にこれまで以上に急接近していると論じている。
一方、韓国主要メディアは、自衛隊がオスプレイをはじめとする「攻撃用兵器」をアメリカから大量導入しようとしているとして、日本の“軍備拡大”に警戒感を強めている。
【オスプレイは大統領専用機にもなっているが…】
小野寺防衛相は、訪米中にオスプレイに試乗。ワシントン近郊の国防総省(ペンタゴン)からバージニア州のクアンティコ海兵隊基地までの約65キロを往復した。自衛隊は既に離島の奪還作戦などを念頭に2018年までに17機の購入を決めているが、ワシントン・ポストなどによると、小野寺防衛相は記者団に対し、試乗に満足した様子で、来年度予算に購入資金を計上したいと語ったという。
ワシントン・ポストは、その一方で、日本ではオスプレイの安全性が大きな論争の的になっていると報じる。米軍普天間基地所属の訓練飛行中のオスプレイから、約15cmの金属棒状の部品が海中に落下した6月17日の一件を取り上げ、「人的被害がまったくないこうした“事故”すらも(日本)メディアの大きな関心を呼んだ。これは今の日本の世論の状況を示す好例だ」と記す。
また、そうした日本国内での扱いとは裏腹に、米軍内ではオスプレイの安全性と高性能については、オバマ大統領の専用機の一角に採用されたり、イラク・アフガンに派遣されるなど、既に折り紙つきだと付け加えている。
【韓国紙は自衛隊の新兵器導入計画に警戒感】
自衛隊は、オスプレイの他に、F35戦闘機、水陸両用装甲車AAV7、そして、訪米中の小野寺防衛相が視察した米海兵隊の強襲揚陸艦「マキン・アイランド」の同型艦を導入する計画だ。これらは、集団的自衛権の行使容認による日本の軍事的役割の拡大を見据えたものだというのが、国内外メディアの共通した見方だ。
韓国メディアはそれに対し、特に批判的な論調を展開する。朝鮮日報は上記のような装備を「大半が攻撃用部隊に分類される海兵隊用だ」とし、自衛隊が2018年の創設を目指す「水陸機動団」に配備されると記す。オスプレイについては「導入されれば、自衛隊の作戦半径は中日間の紛争地域である尖閣諸島(中国名・釣魚島)だけでなく、韓半島(朝鮮半島)と中国に拡大される」と警戒感を露わにしている。
同紙は、これらの「攻撃用兵器」の導入は集団的自衛権の目的である「最小限の防衛力確保」を逸脱していると論じる。中央日報も、「安倍政権が専守防衛の原則から抜け出し、攻撃的な戦略に切り替えていることを意味する」と批判。東京新聞の記事を引用する形で、「他国を威嚇する強力な軍事力を保有しないという平和主義の基本が揺れている」という見方を強調している。
【ロマンスのきっかけは防水イヤホン?】
軍備のみならず、日米の防衛トップ同士の人間関係も蜜月状態にあると論じるのは、WSJ電子版のブログ記事だ。小野寺防衛相とヘーゲル国防長官は11日、ペンタゴンで6度目の会談を行ったが、同紙は「異例の頻度だ」と記す。そして、アメリカ側からすれば、これは日本がアジア太平洋地域で防衛上の役割を拡大することへの期待の表れだと論じる。
今回の訪米で、小野寺防衛相はヘーゲル国防長官の母校、ネブラスカ大学に立ち寄り、同長官の卒業アルバムに目を通すなどの親密ぶりを示した。国防省関係者によると、両者の関係は小野寺防衛相がヘーゲル国防長官に防水のイヤホンを贈ったことで一気に深まったらしい。同長官は水泳が趣味で、毎週通うプールでは必ずこのイヤホンをつけて音楽を楽しんでいるという。(WSJ)
ある国防省のスタッフは、2人のこの“アツアツぶり”を「これは“ブロマンス”(男同士のラブロマンス)の芽吹きだ」と記者に語ったという。