セクハラヤジ議員謝罪も、海外は批判継続 「遅い」「他にもいる」「党の体質露呈」

 塩村文夏東京都議員に対し、18日の議会中「早く結婚しろ」「産めないのか」等のセクハラとも取れるヤジを飛ばしたとして、自民党の鈴木章浩都議が23日一部発言についての責任を認めた。鈴木都議は塩村氏に直接謝罪し、会見を開いた。

 会見で鈴木都議は「塩村都議を個人的に誹謗する目的はなかったが、結婚したくてもできない、子供を産みたくても持てない女性に対し配慮が欠けていた」と言い「深くお詫び申し上げるとともに、騒動を招いたことを反省している」と述べた。

 また鈴木都議は、最初に「早く結婚したほうがいいんじゃないか」と発言したことは認めたが、「産めないのか」との発言に関しては自分ではないと否定している。

【党は離脱、都議は継続の意思表明】
 鈴木章浩都議は「2012年には尖閣諸島に上陸したことでも知られる保守派」とウォール・ストリート・ジャーナル紙(ウォール紙)は報じている。

 鈴木都議は当初はヤジ発言を否定していたため、23日の謝罪会見ではメディアからの厳しい質問を受けた。なぜすぐに名乗りで出なかったのかを問われると「たくさんの情報や憶測が錯綜していたため、名乗り出る機会を逃してしまった」と回答したと同紙は伝えている。

 また鈴木都議は会見で、自民党の会派離脱を申し出たが都議職は続けたいと発言した。しかしこの件は既に国内外の大きな注目を集めており、『Change.org』のサイトには23日午後時点でヤジを飛ばした人物への処罰を求め8万8000の署名が集まっているという。こうした状況をふまえウォール紙は「あまりにも事態が大きくなってしまったことを考えると、鈴木氏の都議継続はもはや難しいだろう」との見解を示している。

【安倍首相の成長戦略にも暗雲が】
 CNNは、今回の件が安倍首相の掲げる成長戦略にも水を差したと報じている。
 
 成長戦略のひとつである女性の社会進出を促す施策、いわゆる「ウーマノミクス」では、働く女性のための環境を整えるとともに女性の役職者を2020年までに30%に増やすことを目標としている。安倍首相が言及した統計によると、女性は男性の平均30%賃金が低いと同メディアは伝えている。

 また英BBCも、日本は先進国中最も女性の社会進出が少ない国のひとつ、と報じている。ここへきて女性蔑視ともとれる発言は政権にとっても大きな痛手、というのが海外各紙の論調だ。

【旧態依然の自民党を露呈】
 フィナンシャル・タイムズ紙は、鈴木都議のヤジとそれに同調や笑いが起きたことは、自民党が未だ女性の社会進出に対し相容れない体質であることの表れ、と指摘する。

 まず、謝罪までに5日を要したことが党への疑念高めた。さらにヤジを飛ばしたのが鈴木都議ひとりではないことを塩村都議も確信しているというが、まだ鈴木氏のほかに名乗り出ている者はいない。

 また同紙は、安倍首相最初の任期中である2007年、当時の厚生労働相が女性を「産む機械」と失言した件にも言及し、自民党が結局古い考えのまま何も変わっていないと述べている。安倍首相は女性の社会進出を促しているものの、日本は男女格差ランキングが135ヶ国中101位と低く、国会議員772人中女性議員の数はたった78人だ。

 また旧態依然なのは自民党だけではないようだ。BBCは「今回の件に関し日本の高名な政治家、外交官、学者の中にも”独身ならそう言われても仕方ない”と公に述べている者もいるようだ」と伝えている。

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Text by NewSphere 編集部