韓国、反日と安保をわけて考えられるか? ミサイル防衛めぐり、米国から協力要請
先月31日、アメリカのヘーゲル国防長官、日本の小野寺防衛相、韓国の金国防部長官はシンガポールで会談を行ったが、北朝鮮の核やミサイルに対する情報共有の制度化へ向けての作業部会を設置することで合意するにとどまった。
ヘーゲル長官が「軍事と政治は分けて考えることが重要だ」と強調すると、金長官は「分かってはいるが、日韓の歴史問題については韓国民の感情が悪化しており、難しい面がある」と答えたという。
また先月29日、日本と北朝鮮が、拉致問題の全面的な再調査について合意したとの発表がなされ、拉致問題の解決に向けて日本が核・ミサイル問題で北朝鮮に譲歩するのではとの米韓の懸念が報じられていたが、小野寺大臣は「拉致、核、ミサイルをすべて解決することが重要だ」と述べたという。
【集団的自衛権に関する日本メディアの論調】
以上が本件に関する日韓メディアによる報道の大筋であるが、日韓で若干ニュアンスの違う部分も存在する。
読売新聞は「小野寺防衛相は会談で、集団的自衛権の憲法解釈見直しの作業に関連し、解釈を変更しても、日本は他国領域にその国の同意なしで入らないことなどを説明した」と述べる。
これに対して、韓国の東亜日報は「日本の集団自衛権問題に関連し、金長官は小野寺防衛相に『韓国側の要請を抜きにして自衛隊戦力が韓半島に入ることはできない』という韓国政府の公式立場を明確に伝えた」としている。聯合ニュースもこれと似た論調だ。
【韓国型ミサイル防衛(KAMD)】
そもそも日米韓3国によるミサイル防衛(MD)システムの共同運用に関して、日韓では期待度合いに差があるようだ。
読売の英字新聞”The Japan News”は、2012年4月に北朝鮮が衛星打ち上げと称して弾道ミサイルを発射した際、海上自衛隊のイージス艦はミサイル発射を探知できなかったが、韓国艦は探知していた点を挙げ、「韓国との情報共有が進展すれば、日本の安全保障は高まる」と述べる。
これに対して韓国の聯合ニュースは、韓国側の事情について、以下のように報じている。
「日米同盟主導によるミサイル防衛(MD)に韓国が組み込まれて行くのではないかと危惧する声も、情報共有MOU(注:了解覚書のこと)の推進を押しとどめる要因となっている。米MDシステムへの韓国編入の可能性は、一部で繰り返し提起されている。これについて韓国国防部は2020年代序盤に米国のMDとは異なる韓国型ミサイル防衛(KAMD)を構築するとして編入を否定している」
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