互いを利用し合って第三国をけん制? 日朝協議、ストックホルムで再開 海外メディアが狙いを分析
26日、ストックホルム(スウェーデン)で日朝外務省局長級協議が再開された。前回北京での開催から1年4カ月ぶりとなる。
今回の日朝協議は26-28日の3日間で、ミサイル発射や核開発計画、拉致問題などが話し合われる見通し。日本側は改めて拉致問題の再調査を要求する一方で、北朝鮮は日本が単独で課している経済制裁の緩和を求める構図になるようだ。
北朝鮮が拉致問題や行方不明者に対して真剣に再調査するなら、日本側は単独で課している経済制裁を解除する用意がある、とAFPは共同通信の匿名情報を引用している。
【なぜストックホルム?】
AFPやウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、日朝協議が初めてストックホルムという場所で開催されたことに大きく注目している。これまで日朝協議は同盟国である中国を中心にアジアで開催されていた。
ストックホルムで開催される背景に、「北朝鮮が中国から離れて、率直な対話を行う意思があるいうメッセージが含まれている可能性がある」との、国際教養大学の豊田哲也純教授のコメントをWSJが紹介している。
AFPは、開催場がスウェーデンであることにいくぶん“特例”ではあるものの、日朝両国においてスウェーデンは「中立国」としてみなされている、とオブサーバーの考えを紹介している。
他方、北朝鮮はスウェーデンとの外交関係をEU加盟国のなかで、一番最初(1974年4月)に国交を樹立しており、今も外交関係を維持しているところでも開催地に選ばれた要因の一つと考えられる。
【日朝協議は互いに“利用”し合っている】
The Diplomatでは日朝両国がお互いを“利用”しあっているのでは、と報じている。北朝鮮は中国や韓国との関係悪化で、日本を利用して「バランス外交」を図っているようだ。
特に同盟国中国と、北朝鮮の核問題で関係がギクシャクしている中、中国がロシアと首脳共同声明するなど北朝鮮に対して外圧を高めている状況の中、日本に急接近することによって、中国をけん制しようと模索しているという。
一方の日本は、北朝鮮と形はどうあれ中国の“戦略的算術”をより複雑にするようパフォーマンスを行っていると分析している。
今回の日朝協議は両国の外交関係を確立するというよりも、むしろ日本と北朝鮮が第三国に対抗する姿勢を取り、お互いが利用し合っていると報じている。
拉致問題を研究しているベルリン大学のHanssen氏は、今回の日朝協議は「協議のための協議」と結んでおり、何かあるたびに中止される日朝協議を否定的に評している。
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