安倍首相、訪欧 歴史認識発言に韓国メディアかみつく

 30日未明、ヨーロッパ6か国歴訪中の安倍首相は最初の訪問国ドイツに到着した。

【売り込みの見込みは】
 今回の訪欧についてフィナンシャル・タイムズ紙は、日本を再生させた外交・経済政策の売り込みだと述べる。

 20年来のデフレからの脱却への期待は、昨年前半、日本の株価を押し上げ、景気刺激策は物価、企業利潤、雇用を改善した。

 だが、このような状況を維持するのに必要な構造改革は、安倍首相には無理ではないかとの疑念が広がってきているとフィナンシャル・タイムズ紙は述べる。

 今年になって株価は反落、ヨーロッパより優先度の高いアメリカとのTPP交渉も、日本が農産品への関税を維持しようとして行き詰まりを見せている。これでは、「いかなる既得権益も私のドリルの前に持ちこたえられないでしょう」(ダボス会議)という発言への期待もしぼんでしまう。

 今回の訪欧で安倍首相は第2次大戦の記念碑も訪問する予定だが、これこそアジアの過去に向き合わずに、戦争一般に対する悲しみを示す便利な機会だろう、とフィナンシャル・タイムズ紙は見る。

【ドイツのまねはできない】
 29日、安倍首相はドイツ紙に対し、「第2次大戦後の欧州とアジアの歴史は完全に違う。日本は第2次大戦以降にドイツが行った和解や謝罪の仕方をまねすることはできない」と述べた、と韓国国際放送交流財団のサイト『アリラン』は報じている。

 この後、安倍首相は、アジアの緊張に話題を転じ、中韓を非難して、対話のドアは開かれたままであり、両国は前提条件抜きで対話に応じるべきだ、と述べたという。

「地域の関係改善に向けた姿勢の真剣さを疑わせる、またしても驚くべき発言だ」とアリランは述べている。

【歴史修正主義政府による慰安婦問題見直し】
 インディペンデント紙(英)へのピーター・ポパム氏の寄稿によると、同氏は、1973年に従軍慰安婦問題に関する著書を出版した日本の左翼ジャーナリスト千田夏光氏に会って、恐るべき実態に関する話を聞いたという。

 同氏は、以下の様なアメリカの報告書の記述を批判している。「(従軍慰安婦とは)売春婦にすぎない。彼女らは金を多く持っていたので、欲しいものを買うことができた。彼女らは将兵とともにスポーツを楽しんだり、ピクニックや娯楽、夕食会に参加した」。

 だが先月25日、訪韓中だったアメリカのオバマ大統領は、慰安婦問題に関して「実にひどい人権侵害だ」と述べた。

 ポパム氏は、安倍首相の周囲にいる右翼メンバーは、20年来の日本の経済不振は戦争犯罪への謝罪に関係があり、経済の回復には歴史の書き換えが必要だと考えている、と見る。この論理は幼稚で、日本を真実の否定というに醜行に追い込むばかりだと同氏は述べている。

 なお同氏は、こうした主張の具体的な根拠をあげていない。海外メディアで見られる日本の「右傾化」批判の中でも、ユニークな部類といえよう。
 
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Text by NewSphere 編集部