日本は「狼の皮を着た羊」…安倍政権は、世界からどう見られているか理解していない、と一部海外紙指摘

 岸田文雄外務大臣は8日、日本政府は歴史認識を見直すつもりはないと発言した。

 岸田外相は、「歴史認識見直しについての非難は、政府外の人間による異論のために起こった。これらの異論は、安倍政権の歴史認識を誤解したものだ」「残念で悔やまれる事態だ」とし、安倍政権が1993年のいわゆる「河野談話」を支持していると再度言及した。

 一方、米ワシントンを訪れた民主党の海江田万里党首は8日、安倍首相の言動は東アジアを不安定化させるとの憂慮を述べた。

【国際的な不評を改めたい安倍政権】
 ニューヨーク・タイムズ紙は、外相の発言について、日本が国外の不安を鎮め、アメリカとの関係を修復しようという、明らかな兆候だとしている。

 中国が台頭するなか、アジアでの主導権を握るのはアメリカであると示すため、バラク・オバマ米大統領は今月、日本を含むアジアを歴訪予定だ。この訪日に向け、日本とアメリカの協調を示そうとの発言だと同紙はみている。

 アメリカは、中国・北朝鮮に対抗するため日韓の連携を望んでいる。しかし、韓国の朴槿惠(パク・クネ)大統領は就任以来、安倍首相との首脳会談を拒否してきた。安倍首相の靖国参拝、NHK会長の従軍慰安婦発言、日本政府の河野談話の成立過程検証など、日本の動きに強く反発を示している。

 最近になって安倍政権は、より柔軟な姿勢をみせている。河野談話を支持する姿勢を示し、一部の国家主義てきな支持層や自身の過去の発言に距離を置いた物言いをみせている、と同紙は報じる。先月には、アメリカの仲介で日韓首脳による会談が実現した。

【日本の“無力”さは見せかけに過ぎない?】
 こうした中、ザ・ディプロマット誌は、なぜ世界は日本の軍国主義を警戒するのか、との疑問を投げかける。その答えはまず、安倍政権は“狼の皮を着た羊”と見られているからだ、としている。靖国参拝やNHK経営委員の発言を取り上げ、こうした言動を危険だと示唆する。日本の政治家は、海外が日本をどう見ているかがわかっていない、というのだ。

 さらに、日本の外交官や官僚は優秀だが、チームとしては貧弱だとも指摘。国際経験が弱く、「仲間を増やし、影響力を高める」やりかたを海外で実行することができないという。その原因は日本の「内向きの教育システム」にあるのだが、政府はその改善の重要性を全く認識していない、と手厳しい。

 同誌は、中国と緊張関係にある日本は、周到に用意するに越したことはないと助言。戦前、戦時中にかかわらず、広報外交(政府と民間が連携しながら、広報や文化交流を通じて外国の国民や世論に働きかける外交)は、好戦的な相手に対応する有効な手段だとしている。このためにも憲法9条は有効だが、安倍政権が改憲を目指しているのは残念だ、と結んでいる。

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Text by NewSphere 編集部