安倍首相がアンネの家訪問、靖国参拝と矛盾しないのか? 海外紙が疑問

 安倍晋三首相は23日、首都アムステルダムの博物館「アンネ・フランクの家」を訪れた。

 首相は、「20世紀は戦争と基本的人権の侵害の世紀だった。21世紀に同じことが繰り返されないことを望む」とし、「歴史の事実に謙虚に向き合い、歴史の教訓を次世代に伝えることで、国際社会全体の平和を実現したい」と語った。

 また、首都圏の図書館などで、アンネの日記など300冊が破壊された事件については、「大変残念」だと述べた。

 オランダ・ハーグで24、25両日に行われる核安全保障サミットに合わせて、G7首脳会合や日米韓首脳会談も予定されている。

【靖国神社参拝との矛盾は?】
 安倍首相は12月、靖国神社を参拝し、中国や韓国からの反発を招いた。

 自国で日本兵の記念碑を参拝することと、外国で戦争犠牲者の記念碑を訪れることに、矛盾はないのかとの問いに対し、外務報道官は「矛盾はない」と答えた。同報道官は、参拝時に安倍首相は「日本は二度と戦争を起こしてはならない」との誓いを表明したと加えた。

 ロイターは、安倍首相はアンネの家訪問で、未解決の戦時課題をめぐる日中の舌戦と、中国がこれらの議論をヨーロッパへ拡大する試みにおいてポイントを稼いだと報じた。

 APも、「北朝鮮の核問題を議論する日米韓首脳会談を前にした外交的動き」であり、12月の靖国神社参拝の影響を取り消そうとした、と報じた。

【アメリカ当局を安心させるためのジェスチャー?】
 報道官はまた、「(アンネの家)訪問で、日本と世界中のユダヤ人の永続的で深い友情を改めて述べたい」とも語った。

「安倍氏は中国や韓国から歴史修正主義と批判されることより、西洋、特にアメリカのユダヤ人社会からの非難に対してより敏感にみえる」という上智大学国際教養学部の中野晃一教授(政治学)の見解をAFPは掲載した。アメリカのユダヤ系団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」は、アンネ関連本破壊事件について強い懸念を表明していた。

 同氏は今回のアンネの家訪問について、「アメリカ当局を安心させるためのメッセージを送りたいという安倍氏の願望の反映だ」と語ったという。

 なお、日米韓首脳会談は、北朝鮮への対応などが主題で、歴史や領土問題には言及されない見通し。

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Text by NewSphere 編集部