日韓初の首脳会談で、“雪どけ”の可能性? 韓国・海外メディアは安倍首相への警戒解かず
安倍首相が2012年12月、朴槿恵・韓国大統領が13年2月に就任して以来、従軍慰安婦問題などの対立でいまだに実現していなかった日韓首脳会談だが、早ければ今月24日からオランダ・ハーグで開かれる核安全保障サミットの機会に実現する見通しが出てきた。
【韓国をクリミア化させるな】
朝日や産経といった日本の報道によると、会談はアメリカが今月提案し、両国外務省が折衝を開始していた。安倍首相が14日、慰安婦問題に謝罪姿勢を示した、いわゆる「河野談話」の見直しを否定したことで、韓国側の態度が軟化し、19日の韓国国家安全保障会議で会談が決まったという。
朝鮮日報(17日付)は、アメリカからの呼びかけという点に関しては触れず、「日本から来たボール」が今韓国側にあると表現している。
韓国の聯合ニュースは、同盟国同士の関係悪化を憂慮していた米当局者らの、歓迎の声を伝えている。
また中央日報のコラム(ビクター・チャ米ジョージタウン大教授)は、ロシアのクリミア侵攻をアメリカが阻止できていない現状に中国や北朝鮮などが味を占めないよう、日米韓が結束を強化することは重要であって、いっそ韓国から東京に特使を送るべきだと説いた。
【半信半疑の韓国世論】
しかし、河野談話堅持発言だけで、氷が融けたわけではない。朝鮮日報の記事では、会談の意義は否定しないものの、「村山・河野談話の継承という日本政府の既存の立場を確認しただけ」「慰安婦問題と独島(竹島)問題などは解決されていない。
性急に首脳会談を行うのではなく、次官級協議などを通じ、歴史問題解決の『ガイドライン』で約束を取り付け、両首脳が会うのが望ましい」など、まだ先は長いとする識者の意見も多く紹介されている。また、サミット明けの26日ごろに出ると予想される、日本の教科書検定結果を不安視する声もある。
他に、オバマ米大統領の日韓訪問を4月に控える中で、韓国としては米国の顔を立てる必要があったとの報道もある。朝鮮日報は、日韓のみの直接会談よりはアメリカも含めた3ヶ国会談の方が実現しやすいという意見と、それではいかにもアメリカの仲裁という点が強調されるので2国会談の方が良いという意見、両方を紹介している。朴槿恵大統領は安倍首相の発言を直ちに歓迎してはいるが、実際は国内世論も考えると、諸手を挙げて会談に賛成とは言いがたいようである。
【またいつ火を噴くかわからない安倍火山】
第三者ともいえる、ドイツの放送機関『ドイチェ・ヴェレ』は、「道半ばは越えた」などと日韓関係修復の先行きを期待する専門家の意見を伝えつつ、警鐘も鳴らす。安倍首相自身は元来、慰安婦問題について、韓国などが提示する証拠を信用しない立場だったはずであり、現在こそ関係修復のため自重しているが「噴火の危険性が常にあり、韓国を深く怒らせ、朴槿恵をピエロに見せかねない」という。「日本の政治家は他の国ほどメッセージの一貫性に定評がない」ため、政権幹部らも同様に、靖国神社を参拝でもして新たな批判を呼ぶおそれがあるとのことだ。
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