オバマ来日控え、安倍政権の“正念場” 集団的自衛権、対中韓…日本の対応に海外メディア注目
今月24、25日にオランダで開かれるハーグ核安全保障サミットで、日本、アメリカ、中国、韓国の首脳会談が開かれると海外メディアは予想している。
また、4月にはオバマ大統領の訪日・訪韓が控えており、今月後半から来月にかけてが、領土問題や歴史認識問題で緊張が続く東アジア情勢のターニングポイントになる、という見方が強まっている。
こうした中、アメリカの主要メディアや専門家は、それぞれの視点から日米関係を中心に今後の日本の行く末を分析している。
【「集団的自衛権」で安倍首相はオバマ大統領を失望させる】
フォーブス誌は、オバマ大統領と中国の習近平国家主席の会談と、オバマ大統領・安倍晋三首相・韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の三者会談が行われることを確実視する。そのうえで、「中国は日本を村八分にし、韓国は謝罪を強制してくる」とし、安倍首相にとっては「新たな屈辱に甘んじる会談になる」と、厳しい見方を示している。
日米関係においては、安倍政権が目指す集団的自衛権の行使に向けた動きに着目する。アメリカはここ数十年来、日本に集団的自衛権の行使を容認するよう迫ってきた。安倍政権になってようやくその動きが前進したが、昨今は鈍ってきていると同誌は指摘する。
というのも、この問題を議論した17日の自民党の総務懇談会で、安倍首相周辺の意向に反して、党内の現職閣僚や派閥の重鎮の一部から反対意見や慎重論が噴出したからだ。同誌は「(集団的自衛権に向けた動きは)身内によってスローダウンさせられた」と論じ、安倍首相はこの件の成果をオバマ大統領への手土産として用意できず、4月の訪日時にも間に合わないだろう、と予想している。
【オバマ訪日を前に、安倍政権は正念場を迎える】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)も、オバマ訪日と絡めた記事の中で、2年目を迎えた安倍政権は、最大の正念場を迎えると見ている。
同紙は、アベノミクスの失速や、近隣諸国の反日姿勢激化などを要因に挙げ、集団的自衛権容認への動きが止まったことも、安倍政権の大きな試練だと捉える。
4月のオバマ訪日では、TPPをめぐる問題や日韓・日中関係について話し合われる見込みだ。WSJは、安倍首相は苦しい立場に置かれながらも、依然として世論と国会の幅広い支持を得ていると分析。オバマ訪日をきっかけに、現状を打破する可能性にも言及している。
【日本にそのつもりがない、は言い訳にならない】
日本政治にも造詣が深い米・デューク大学の政治学者、ピーター・フィーバー氏は、今の日本が取るべき国際戦略について、『フォーリン・ポリシー』誌に寄稿した。
フィーバー氏が挙げるポイントは、第一に「強い日本」と「アメリカとの強固な同盟関係」だ。日本がしっかりとした国家戦略を実行することは当然だが、単独ではアジアや世界のリーダーにはなれないと主張。アメリカか中国と強い同盟関係を結ぶことは不可欠で、その結果どちらかと緊張関係が生まれるのは仕方がないと論じる。むしろ両方と友好関係を結ぼうとすれば「有害な関係」しか築けないという見方を示している。
中国、韓国との歴史認識問題については、「安倍首相らは、世界が20世紀の歴史を正しく理解しているという前提に立っている」とし、「それは現実的な姿勢ではない」と批判する。そして、「日本の友人たちに送る」として、次のようなアメリカの格言を紹介している。
「あなたは、奥さんとケンカしているつもりはないかもしれない。しかし、もし奥さんがケンカをしていると思ったら、あなたは奥さんとケンカをしているのだ」。中国と韓国との関係についても同様で、「日本が20世紀の名誉を取り戻そうとすればするほど、21世紀の名誉ある地位が遠ざかる」と警告している。
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