日本、米リニア新幹線導入のため約5000億円の融資提案 2つのねらいとは?
日本はアメリカに対し、ワシントンD.C.-ボルチモア間にリニア新幹線を導入する構想について、線路の建設費用の半額相当(約5000億円)を融資する意向を伝えていたことが明らかになった。実現すれば日本政府の対外融資で最大規模になるという。
日米関係強化と、リニア技術の輸出促進というねらいがあると報じられている。
◆安倍首相がオバマ大統領に直接売り込み
英テレグラフ紙によると、融資の意向は安倍晋三首相からオバマ大統領に、昨年2月の首脳会談の中で直接伝えられたという。首相は、リニア導入で日米同盟関係を強化したい意向のようだ。
これを受け、米側でも、メリーランド州など沿線の北東部諸州を中心に、リニア新幹線導入に対する関心が高まっているという。
現在、ワシントンD.C.-ボルチモア間(約60km)は、在来線で約1時間かかる。リニア導入でこれが約15分に短縮される見込みだ。
また、ニュースサイト「アントレプレナー」によると、先の日米首脳会談では、最終的にはこの路線をフィラデルフィア、ニューヨークを経てボストンまで約705km延伸することも話題に上ったという。
◆国内に先立ってアメリカで開業を
日本国内では、JR東海が品川-名古屋間で、2027年にリニア新幹線の開業を目指している。一方、ワシントン-ボルチモア間のリニア新幹線について、テレグラフ紙は「日本政府は10年以内の開業を望んでいる」と伝えた。これは、国内よりも先にアメリカでの開業が望まれていることを意味する。
同紙はさらに、日本政府は、ワシントン-ボルチモア線の開業をきっかけに、「米国内の他地域や他国の需要が喚起されることを目論んでいる」としている。
ニュースサイト「インターナショナル・ビジネス・タイムズ(IBT)」等、各米国メディアの伝え方も同様のものが目立つ。自国のリニア技術利用に対する日本の主眼が輸出にあり、ワシントン-ボルチモア線がその皮切りに位置づけられているというのが、米国側の共通した見方のようだ。