中国、自国を“棚にあげて”日本の国防強化を批判 海外メディアもダブルスタンダードを批判
政府は17日、国家安全保障会議(NSC)および閣議で、国の外交・安全保障政策の指針となる「国家安全保障戦略」と、国防の基本的指針となる「防衛計画の大綱」、平成26年度から5年間の「中期防衛力整備計画(中期防)」を決定した。
国家安保戦略は、「積極的平和主義」の立場を打ち出し、同盟国との連携を強めつつ、「地域及び国際社会の平和と安定」に寄与することを掲げている。とりわけ関心の注がれる「地域」は尖閣諸島である。防衛大綱では、有事の際、離島奪還作戦を遂行するための「水陸機動団」の設立が打ち出されるなど、尖閣諸島を念頭に置いた空・海両面での監視・機動力の増強が図られている。今後5年間で24兆6700億円が投入される計画だ。
【日本の“軍国化”にいらだちを表明する中国】
人民日報傘下のグローバル・タイムズ紙は、「日本の防衛計画は中国を対象としたものだが、根本的には日本の平和憲法を見直す道を開こうとするものだ」という専門家のコメントを紹介している。また中国国営新華社通信の英文論説は、安保戦略を「日本政府による安全保障の解釈のターニングポイントであり、危険な“安倍軍国主義”の時代が到来したしるし」と評している。
安倍首相が平和主義を訴えようとも、中国にとって、日本の全ての行動は軍拡主義と解釈される。その背景には戦争の歴史が今なお影を落としている、とウェブ誌ザ・ディプロマットは分析する。実際、中国外務省の報道官は、「日本が過去に行った悪しきふるまいを考えると、中国含むアジア諸国と国際社会は、日本の行動を注視し警戒しなければならない」と述べた、とグローバル・タイムズ紙が報じている。
【中国の批判は自分たちにもあてはまる?】
新華社の論説は、「軍国主義に傾く」日本が、中国とのあいだで緊張を引き起こし、地域の平和と安定に脅威をもたらしていると主張。“平和への積極的寄与”は、軍事大国になる野望の隠れ蓑だとみている。
ザ・ディプロマットは、日本に対し、新防衛戦略が中国以外の諸国にとって脅威ととられる可能性を考慮していないのでは、と注文を付けた。一方、日本の“言行不一致“を批判する中国に対しては、自国を棚にあげた「ダブルスタンダード」ではないかと論じている。中国は、地域の安定を乱す意図がないから、他国は軍備増強を心配する必要がないという姿勢だ。この論理は、中国の行動はなんでも日本のせいだと正当化できる一方、日本の行動には理がなく中国の挑発のせいでもない、というものだ。
同メディアは、日中両国に対し、「両国の安全への関心を、公正かつ理性的に尊重する」(中国報道官)ことが必要だと説いている。