アベノミクス成功のカギは構造改革! 海外報道は楽観・悲観わかれる
菅官房長官は11日、15日から12月上旬まで開かれる臨時国会において、「アベノミクス第3の矢」である構造改革を重点とする姿勢を示した。
【消費税問題が片付いた安倍政権】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、日本企業の競争力強化、および経済特区の設定が目的だと報じている。具体的には、下記の内容について報じている。
・税制優遇措置により、3年で民間設備投資を昨年度の10%増である年70兆円に増やす
・産業再編や労働力移動により、再生可能エネルギー・最先端医療サービスなどの「陽の昇る」産業へのリソースシフト
・投資促進や事業計画審査サービスによる起業増で、現在4.5%ほどしかない新興企業率を2017年までに米英並みの10%へ上げる
・日本への外国直接投資を2012年の17.8兆円から2020年に35兆円へ増やす
・専門家や英語圏の住民、観光客の誘致のための経済特区設定
同紙は、安倍政権は6月に成長促進パッケージを発表していたが、ほとんどは法制化を必要とするため保留され、7月の参院選における議会両院の支配奪取と、10月の消費税増税決断を経て、ようやく「第3の矢」に注力できるようになったと述べている。
【危うい経済成長】
経済情報サイト「エマージング・マーケッツ」は、日本が、高い経済成長予測や有利な円安、東京オリンピック招致成功によって自信を回復させつつあるとみている。しかし政府債務は突出して高く、人口すなわち消費力は減少しており、さらに消費税増税も加わる状況で、金融政策や財政刺激策に頼り切って安心するのは危険だと警告する。
また、経済状況改善の一部は元々すでに進行中であったもので、すべてがアベノミクスの功績ではないと指摘する。したがって日本には痛みを伴う経済改革が必要であるが、政府はそのための口実として、TPPという「外圧」を利用してもいるのだという。
ただし、日本は今20年ぶりに「信用サイクル」がプラスの状態にあり、雇用保障の改善、個人の住宅ローン利用、内需拡大、といった好循環が見られるのは大きな楽観要因であるという。
また、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は別の記事で、米連邦準備制度の緩和縮小動向や、消費税増税前の駆け込み需要とその後の消費低下により、「日本経済はおそらく乱高下に向かっている」と評した。
これに対し黒田日銀総裁は10日、「2%の物価安定目標を達成する目的において、日銀はそれが必要である限り、量的および質的な金融緩和を継続します」と述べつつ、東京の役人が狙っているような一時的な投資ブームではなく安定成長こそが重要だとの考えを示した、と報じられている。