「もはや禁止に意味はない」? 日本、カジノ解禁か

 世界的な娯楽大手各社が、今こそ日本でのカジノリゾート建設の絶好の機会だとして熱い視線を向けている。

 2020年夏季の東京五輪開催決定を受け、東京ではインフラを再活性化し、来日者の宿泊施設を確保する計画を進めており、ホテルや娯楽施設を含むカジノリゾートを認めようとする動きが加速している。

【米大手の熱視線】
 18日、米国に本社のある投資銀行ユニオン・ゲーミング主催で、東京に国内外から娯楽大手各社の幹部らが集まり国際会議が行われた。

 会議では、米カジノ大手、ウィン・リゾーツ・デベロップメントのガマル・アジズCOOが、日本でカジノリゾートが実現するなら40億ドル以上を投資する計画を表明。同じく米カジノ大手、MGMリゾーツ・インターナショナルのビル・ホーンバックル社長は、数十億ドルを投資すると述べた。その上で、高級レストラン、タイトル試合、シルク・ドゥ・ソレイユのようなショーなど、カジノゲーム以外のアトラクションで集客してきたMGMの実績を強調した。

 シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズのジョージ・タナシェビッチCEOは、「東京と大阪は同社の収益性の高いシンガポール事業に似た、カジノ併設総合リゾートに最高の場所だ」と語った。

 ウィン、MGM、サンズの3社ともに日本企業とパートナーを組む考えを示した。

【日本の政治家も意欲】
 超党派の国際観光産業振興議員連盟(カジノ議連)の細田博之会長は、カジノ法案を来月召集予定の臨時国会に提出すると語った。来年の通常国会での成立を目指すという。カジノ議連の会長代行を務める、自民党の岩屋毅議員は「日本のカジノにとってこれまでにない最高の機会だ」と述べた。

 カジノ構想は最初、2002年に議員が発案した。しかし、マネーロンダリングなどの犯罪を招くとの懸念もあり、米娯楽大手らは10年以上じらされ続けている状況だった。

 反対派の懸念を和らげるため、岩屋議員は、政府内に犯罪行為を監視する推進本部を設置する計画を立て、政府にギャンブル依存症対策も求めている。

 支持派からは「カジノ計画を支持する安部首相の支持率が高い今こそ、法案通過に最高の政治情勢だ」、「新たな税収源となる」などの声があるという。

【世界第2のカジノ市場に】
 ユニオン・ゲーミングによると、日本でカジノを解禁すれば、年間150億ドルの経済効果が見込め、マカオに次ぐ世界第2のカジノ市場になるという。昨年のマカオの賭博収入は380億ドルに達しており、これは米ラスベガスの6倍となる。

 また、日本は富裕層人口が多く、中国に隣接しているため、最後の大きな未開拓市場ととらえられている、とロイターは報じた。

【カジノ解禁は現実的か】
 カジノ法案が来月の臨時国会で通過すれば、早ければ2019年に日本初のカジノリゾートが開業する見込みだ。ただ、安倍政権には、消費税増税など別の重要な課題があり、カジノ法案は次期国会において100ある法案のうちの1つだ。

 一方で、日本には競馬、競輪、競艇、宝くじなどのギャンブルがあり、最も人気があるパチンコとパチスロの市場規模は昨年19兆円に達し、レジャー支出の約30%を占めている。

 細田会長は、「多くの日本人が海外でカジノに行くので、禁止はもはや意味がない。ただ税収が他へ流れるだけだ」との見解を示している。

Text by NewSphere 編集部