自民党優勢の原因を海外紙が分析

自民党優勢の原因を海外紙が分析 新聞各社の世論調査によると、衆議院選挙(12月16日実施)で自民党が圧勝する見込みだ。朝日新聞社の調査によると、衆議院の定数480議席のうち、自民党が現在の118議席から単独過半数超の285議席に躍進し、民主党が現在の230議席から95議席に激減すると見られる。読売新聞社による世論調査でも、自民党が単独過半数の241議席を上回り、公明党と合わせるならば300議席に達すると予測されている。また、脱原発を公約に掲げる日本未来の党(現有議席62)がかなりの苦戦を強いられ、日本維新の会(現有議席11)が議席を3倍以上伸ばす可能性があるとする調査結果も出ている。
 海外紙はこうした調査を踏まえ、「自民圧勝」の要因を分析した。

 まず、総選挙の争点を有権者がどのように捉えているかが鍵となろう。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、安倍晋三自民党総裁のタカ派的思考とともに、インフレ政策を取り上げ、自民党の支持率が高いのは、有権者が脱原発よりも日本経済の立て直しを優先させているからだと論じている。

 一方、中国のグローバルタイムズ紙は、朝日新聞社の世論調査結果をひき、有権者の主な関心は原発問題とTPP加盟問題にあると紹介した。ただし、朝日新聞社の世論調査は、特定の問題を重視するかどうかという質問であるため、一概に比較はできない。なお、産経新聞社とFNNの合同世論調査(11月)では、「衆院選で重視する争点」として最も多かったのは、「景気・経済対策」(33.6%)であり、「原発・エネルギー政策」(7.9%)、「消費税率引き上げ」(5.9%)、TPP(2.3%)を大きく上回った。

 また、民主党の自滅による相対的勝利という要因についても各紙触れている。フィナンシャル・タイムズ紙は、民主党が支持を失った原因が、経験とリーダーシップの欠如に有権者が怒りをもったことにあるという見方を紹介している。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、消費税増税などの政策的転換に有権者が失望したことが民主党凋落の原因となっていると見ている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙が紹介している埼玉大学松本正生教授の見解がこれを補強しているかに見える。すなわち、選挙そのものが、社会全体の雰囲気に無党派層が身を任せる一回限りのイベントに堕しているというのだ。

 中国のグローバルタイムズ紙は、日本の右傾化という視点で論じている。日本人は、経済および外交問題が山積するなか国際的な影響力を失うことを恐れており、安倍氏や石原氏などの強硬派の政治家を支持したがる風潮が強くなっているという見解を紹介している。また、同紙は、80%以上の日本人が中国に親近感を感じていないという統計に触れるとともに、特に若者と40代の男性が、隣国に対してナショナリズム的な考え方を取る傾向にあるという東京外語大学教授の分析を紹介している。さらに、日本人が右傾化した原因を、中国の台頭、同盟国アメリカおよび中国への不信感に求める考え方も紹介している。

Text by NewSphere 編集部