福島沖地震、海外メディアも詳報 避難者のトラウマを心配、NZ地震との関連にも
11月22日の早朝、福島沖で発生した地震に5年半前を思い出した人も少なくないだろう。海外メディアも、今や世界的に知られるようになった「Fukushima」の沖合が震源地とあって、大きく報じるものが目立った。
◆ライブアップデートで詳細に
地震があった5時59分はイギリス時間で20時59分だが、ガーディアン紙は現地時間22時01分に第一報を伝えて以降、刻々と変化する状況を事細かにライブアップデートで発信している。日本時間夕方5時現在のページ数は4ページに至っている。記事の中でAFP通信を引用し、福島第一原発に近い南相馬市の住民の「怖いけど原発が心配」という声や、ツイッターで「前の地震(東日本大震災)を思い出す」という声を紹介した。
◆「東日本大震災を思い出して」
ニューヨーク・タイムズ紙は、記事の出だしで東日本大震災に触れ、「3つの原子炉がメルトダウンした場所だ」と福島を説明した。冷却装置が一時停止したことにも触れたが、問題なく平常運転に戻ったと伝えている。福島第一原発には冷却水で冷やし続けなければいけないウランがあることや、日本国内の原子力発電所の多くが、2011年の東日本大震災以降、国民の懸念を受けて操業停止していることなど、原発の状況を詳しく伝えている。また、NHKのアナウンサーが放送中に「東日本大震災を思い出して」と言いながら福島県の住民に避難を呼びかけた、と報じた。
◆避難所生活の人たちに再びトラウマと指摘
CNNは、シドニー大学の災害危機管理の専門家デイル・ドミニー=ハウズ氏の話として、余震による影響を伝えている。同氏は、東日本大震災の被災者の中には、通常生活に戻れず今も避難所生活をしている人たちがいると指摘。今日の地震や津波でまたあの時の恐怖が蘇り、あのときと同じトラウマを再び経験するだろうと懸念を示した。また、CNNが今月13日に掲載した「津波が来たらどうすべきか」という記事へのリンクを載せ、津波に対する心構えを促している。
◆NZの地震が引き起こしたわけでないと専門家
BBCは、オーストラリア地球科学機構の上級地震学者ヒュー・グランビル氏の話として、先日発生したニュージーランドでの地震に触れた。同氏によると、この2つの地震はどちらも太平洋プレートが動いたことにより発生したが、ニュージーランドでの地震が今回の福島沖の地震を引き起こしたわけではないとし、互いに影響し合っているという見方を否定している。
◆マグニチュードの違い
日本の気象庁はマグニチュード7.4と発表しているが、アメリカのメディアの多くは6.9と伝えている。この違いは、アメリカ地質調査所(USGS)と気象庁の観測法の違いによるもので、USGSは岩盤のずれの規模を元に計算し、気象庁は気象庁マグニチュードと呼ばれる、地震波の最大振幅から算出する方法を使用しているため。なお、USGSは当初7.3と発表後、6.9に引き下げている。