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大学の淘汰始まる「2018年問題」 打開の鍵は「グローバル化」と「リベラルアーツ化」か

  • カテゴリー:社会
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大学の淘汰始まる「2018年問題」 打開の鍵は「グローバル化」と「リベラルアーツ化」か

 日本の大学が「2018年問題」に戦々恐々としている。大学入学年齢の18歳の人口が2年後から減少に転じるのに伴い、多くの大学がキャンパス閉鎖などの危機に直面すると言われているのだ。日本の人口減少がいち早く目に見える形で表面化する事象の一つとして、この問題に注目する海外メディアも出始めた。国際ニュースサイト『OZY』は、「グローバル化」と「リベラルアーツ化」をキーワードに、日本の教育が「全面的に変わろうとしている」と、危機と転換期のまっただ中にある現状をレポートしている。

◆「学歴よりも知識」 学生の意識にも変化
 筆者は、長年、帰国子女教育をテーマに取材活動をしており、帰国生受入校(=帰国生枠の入試を実施している学校)を中心に、国内の中学・高校、大学を取材する機会が多い。その中で、ここ数年の際立った傾向として感じるのは、どの学校も例外なく「教育のグローバル化」を推進しているということだ。それに合わせたカリキュラムの見直しや、数学・理科・社会といった教科を英語で学ぶ「英語イマージョン教育」の導入、一方通行の講義からディベート型の「双方向授業」への転換などが、今まさに一斉に行われていると言っても過言ではない。また、帰国子女が時代の先を行くグローバルな人材として改めて注目を集めており、新たに帰国生入試を始めたり、受け入れ枠を拡大したりした学校も、ここ1、2年で急激に増えている。

 その背景にはインターネットの普及により世界で情報が共有され、否応無しにグローバル化が進んでいる現状がある。明治維新以降、国際社会の一員に加わったものの、比較的独自の路線を歩みながら先進国の地位を築いてきた日本とて、例外ではないだろう。政府もそれを十分に認識しており、アベノミクスとは、一言で言えばグローバル化対応の政策だという見方もあるほどだ。そして、日本人の意識改革はまずは教育からだと、教育改革が国全体の危急の課題として、各教育機関の独自の改革と併行して推進されている。

『OZY』は、こうした現状を象徴する存在として、早稲田大学に通う1人の男子学生を取り上げている。政治学を学ぶYuki Satoさんは、東京のインターナショナルスクールとアメリカの全寮制高校出身。厳しい受験戦争を勝ち抜いて早稲田に入ったものの、「丸暗記の詰め込み教育を継続するのが成功への近道だと信じる同級生たち」に違和感を持ち、早稲田の教育を理系・文系の枠の中で進む従来型の日本式の教育から抜け切れていないと感じて満足できていない。そのため、再びアメリカに渡り、現地の大学へ留学する決意をしたのだという。「学歴には興味がない。知識が欲しいだけ」と語る彼の学びの姿勢は、「学歴を得るためにいい大学に入り、いい会社に就職する」という従来の日本的な目的意識ではなく、さまざまな分野を幅広く学んで専門知識を深め、それを実社会で生かす「リベラルアーツの精神」に根ざしていると、『OZY』は分析する。

◆各教育機関で進むグローバル化対応
 2018年を2年後に控えた各大学も、Satoさんのような現代的な意識を持つ学生の間に広がる、「グローバルでバイリンガルな教育」を求めるニーズに応える努力はしている。『OZY』は、「教育のグローバル化」と「リベラルアーツ化」の2つを、今、日本の大学が取り組む最大のミッションに挙げる。

 例えば英語教育では、文法に重点を置いて語学として学ぶいわゆる「受験英語」から脱却し、実社会でツールとして使う英語を身につけるカリキュラムが一般的になりつつある。リベラルアーツを標榜する学校・学部も増えており、早稲田の国際教養学部や慶応大学湘南藤沢キャンパス(SFC)といった、リベラルアーツを英語イマージョンで行う学部も定着しつつある。

 丸暗記の詰め込み教育を支えてきた「一方通行のレクチャー型の授業」も、改革が求められている。『OZY』は、日本の教員の多くが「学生の自己アピール力を高めるという目的で、ゼミ形式のディスカッションに目を向けている」と書く。筆者が実際に取材してきた中でも、既に高校の段階で、文科省の「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」に指定された学校を中心に、理系・文系の垣根を超えた研究発表を軸にしたゼミ形式のカリキュラムを実施している学校が増えている。これらの学校では、さらに、生徒に英語での研究発表を課している場合がほとんどだ。

◆「日本の教育はあらゆる面で変わろうとしている」
『OZY』は、これらの取り組みを「大学版のアベノミクス」と書く。そのアベノミクス同様、まだ教育改革の成否の結論は出ていないが、従来型の学歴社会の申し子とも言える予備校大手の『代々木ゼミナール』が来春、全国27の校舎のうち実に75%の20校を閉鎖するとしているなど、学生数の減少と意識の変化は目に見える形で出始めている。そして、教える側の教員も、変化への対応に必死だ。全国で教員向けの研修が盛んに行われており、最近のアメリカ・コロラド州のローカルニュースでも、日本の高校教師たちが、現地の大学に英語の教え方を学びに来ている様子が取り上げられている。

 多摩大学グローバル・スタディーズ学部のウィリアム・シャング学部長は、『OZY』に対し、2018年問題は中位から下位の大学ほど深刻で、「一部の学校は全く機能しなくなると予想している」と語る。文科省の2014年時点の統計によれば、800近い高等教育機関が大幅な定員割れなどの危機的な状況に陥っているという。

 シャング教授は「日本の伝統的な教育スタイルは、あらゆる面で変わろうとしている」とも言う。この変化に取り残された大学は、淘汰される運命にあるのか。そして、教育改革の成果は日本社会全体に本当にプラスに働くのか。その答えが出るまでに、そう長い時間はかからないだろう。

(内村浩介)

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