「日本がついに人口減少…」 海外メディアが勧める対策は移民受け入れ、婚外子の容認

 総務省の発表によれば、日本の人口は昨年10月1日時点で約1億2710万人と、5年前と比べ約94万7000人、率にして0.7%減ったことが分かった。1920年に国勢調査が始まったときの日本の人口は約5600万人。以来人口増が続いてきたが、事前の予測通り、ついに人口減が現実のものとなった。

◆人口1億維持は無理
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、2014年の日本の出生率は1.42で、2100年には人口は8300万人まで減るという国連の報告を紹介し、安倍首相が目指す「2060年に人口1億人維持」に、疑問符を付けている。

 菅官房長官は、「出生率を1.8に上げるための政策を実施することが極めて重要」としているが、政策研究大学院大学の名誉教授で人口とマクロ経済の専門家、松谷明彦氏は、人口減少はもはや止められないとし、「出生率が1.8に達することはありそうもなく、たとえそうなったとしても、そもそも育児期となる女性の数がより少なくなることを認識しなければならない」と指摘。(WSJ)。早稲田大学社会科学部の非常勤教授、マイケル・キューセック氏も、人口1億人を維持するには出生率2.1が必要で、政府の目標自体が十分ではないと指摘している(ガーディアン紙)。

◆移民と婚外子は要検討
 WSJは、人口減の理由の一つに、日本が移民受け入れに厳しいことを上げ、一部のビジネスリーダーからは緩和の求めがあるが、安倍首相は基本政策を変える用意はないとしている。

 アトランティック誌も、移民受け入れを推奨する。同誌は、人口減に陥っているのは日本だけではなく、欧州からアジアまで高齢化は進んでいるとする。アメリカでも20年間出生率2.0以上が続いた後、2010年から低下しているが、日本との違いは、移民が若い労働力を維持するのに貢献していることだと述べる。自国の同質性を求める日本では移民は限られており、外国人人口はわずか2%。この数字が急に大きく変化することは期待できないと述べる同誌は、2060年には日本の人口の40%が65歳以上になるという報告も紹介している。

 一方、上述のキューセック氏は、出生率低下の要因は、女性が晩婚になっていることと、婚外子の割合が2%しかないことだと指摘。「婚外子を冷たい目で見る東アジアでは、驚いたことにどこでも同様に出生率が低い」とし、文化、制度的な問題があることを示唆している。

◆人口増は夢。現実的な施策を
 ガーディアン紙は、人口減で世界一負債の多い日本がトラブルに陥るのではというエコノミスト達の心配を紹介。WSJも経済紙の立場から、日本の消費は鈍り、日銀の金融緩和での努力にもかかわらず、慢性的な低成長につながっていると述べ、長期の人口減が悲観的ムードを助長するのではと述べる。

 上述の松谷氏は、人口減への対策として、政府は社会保障費の根本的な見直しの準備を行い、経済を支えることのできる優れたテクノロジーを育成すべきだと助言する。出生率上昇が期待薄な今、人口減を前提とした現実的施策が必要なことを説いている(WSJ)。

Text by 山川 真智子