ゴジラが日本人になった?“移民法厳しい日本で…”と揶揄の海外メディアも

 新宿区歌舞伎町に新たにオープンする新宿東宝ビルに、ゴジラの実物大の「ゴジラヘッド」が設置された。これを記念して、新宿区がゴジラに特別住民票を交付し、新宿観光特使に任命した。このニュースは海外メディアでも取り上げられたが、「モンスターのほうが簡単に日本の住民になれる」といった奇妙な反応もみられた。

◆ゴジラのほうが簡単に市民に
 ハリウッドで映画化され欧米でも知名度を上げたためか、タイムやニューズウィーク、BBCやガーディアンなど英米の主要メディアもこぞって「あのゴジラが日本の市民に!」と取り上げた。 なかには、「移民法が特に厳しいことで有名な日本だけど、住民票を手に入れるのに巨大な抜け穴が。50mのモンスターになることだ!」とジョーク交じりに伝える記事もあった(映画情報サイト『Moviepilot』)。

「住民票」は基本的には居住関係を証明するだけであり(もちろん新宿がゴジラに交付した「特別住民票」にはなんら法的効力はない)、中長期の在留資格のある外国人も登録できるのだが、英米圏では「住民票」というシステムにあまりなじみがないせいか、「市民権(citizenship)を得た」として報道されている。

◆移民受け入れはパンドラの箱
 上記サイトでは「移民法が特に厳しい」と評されているが、政府は外国人労働者の受け入れを拡大する意向は当面ないようだ。ブルームバーグは、有村治子女性活躍担当大臣がインタビューで「移民政策の前にやるべきことがある。パンドラの箱(編注:ギリシャ神話に登場する、この世のあらゆる災いの詰まった箱)という前にやるべきことはある」と述べ、女性活用を推進すべきとの立場を示したことを報じている。

 女性活用を優先すると大臣は述べているが、ブルームバーグは、女性の3人に1人が専業主婦を望み、約6割が出産を機に退職する社会で、女性の社会進出ばかりに頼るのは難しいだろう、との見方を示している。

◆縮小する人口、拡大する社会保障費
 日本の移民受け入れの是非については、海外でもさまざまな報道があるが、受け入れやむなしとするものが目立つ。例えば昨年11月のフォーチュン誌の記事は受け入れの必要性を下記のように説明している。

 日本は急速な人口減少と高齢化が予測されているが、人口が減ることで、必然的に労働人口も減少し経済規模も縮小する。そのため歳入の先細りが予想されるものの、高齢者人口の増加で社会保障などの歳出は増加する見込みだ。その差を埋めるのは負債となるが、日本はすでにGDP比で200%をゆうに超える額の債務を抱え込んでいる。

 経済の成長には人口の増加が不可欠であり、先進国のように、高齢者を支えるために若い世代の労働力を必要とする社会保障制度の国では特にそうである、ということで専門家の意見はほぼ一致していると同誌は述べている。

Text by NewSphere 編集部