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貧困地域の感染症にも治療薬を 日本企業が新薬開発PJに参加 世界初の官民基金が支援

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貧困地域の感染症にも治療薬を 日本企業が新薬開発PJに参加 世界初の官民基金が支援

 韓国で中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染が広がっている。3日時点で感染者数は30人に上り、うち2人が死亡している。MERSには現在のところワクチンや特効薬がない。MERSは2012年に初めて確認されたものだが、古くから知られている疾病であっても、医薬品開発が進んでいないものがある。新薬開発には多大な費用が掛かる一方で、貧困地域に患者が集中する感染症などでは、開発費用回収の見通しが立たないのも一因だ。そういった「顧みられない病気」の中でも、「とりわけ顧みられることのない2つの病気」の新薬開発に向けたプロジェクトに、日本の製薬会社3社が参加することになった。

◆ワクチンがない感染症にはパンデミックの危険が
 3日現在、韓国では398人にコロナウイルス感染の疑いがあるとされ、1300人以上が隔離、監視されている。最初に感染が確認された患者とは直接接触のなかった「3次感染」者も出ている。ワクチンや特効薬がないため、治療は対症療法にとどまる。

 昨年夏、日本で約70年ぶりにデングウイルスの国内感染が確認されたが、デング熱にもやはりワクチンや特効薬はない。デング熱は世界保健機関(WHO)が定義する17の「顧みられない熱帯病」に含まれている。

「国境なき医師団」によると、「顧みられない熱帯病」は、主に遠隔地の農村や都市部のスラム街などで、年間推定50万人の命を奪い、10億人の健康を悪化させる要因となっているとのこと。1975年~2004年の間に「顧みられない熱帯病」のために開発された新薬は、わずか10種類だけだという。

 昨年来、西アフリカで猛威を振るい、現在ようやく終息に向かいつつあるエボラ出血熱についても、事情は同様だったが、現在は新薬のリリースに向けた臨床試験が進められている。

◆感染者が多く、決定的な治療薬のない「顧みられない熱帯病」
 エーザイ、塩野義製薬、武田薬品工業は、英アストラゼネカとともに、非営利組織「顧みられない病気のための新薬開発イニシアティブ」(DNDi)のプロジェクト「顧みられない熱帯病に対する創薬ブースター」に参加する。先月28日、DNDiが発表した。このニュースを1日のインターナショナル・ニューヨーク・タイムズ(INYT)紙が報じた。

 この「創薬ブースター」では、シャーガス病とリーシュマニア症の治療薬開発の出発点となる「リード化合物」の発見が目指される。

 どちらも寄生虫による感染症である。国境なき医師団によると、シャーガス病のために年間1万5000人が命を落とし、中南米の21ヶ国で年間1800万人の新たな感染が確認されているとのこと。リーシュマニア症は毎年約50万人が感染し、5万人が命を落としているそうだ。INYT紙によると、後者は東アフリカ、中東、インドでよく見られるという。

 国境なき医師団によると、今あるシャーガス病の治療薬は35年以上も前に開発されたもので、激しい副作用があるとのこと。リーシュマニア症の場合は、治療方法は複数あるが、どれも理想的なものではないそうだ。治療薬の中には毒性が強いものがあるという。また長期にわたる服用が必要なもの、注射や点滴が必要なもの、値段が非常に高いものがあるという。途上国ではこれらの点が大きな問題となる。

◆新薬開発を加速する「創薬ブースター」
 DNDiは、患者のニーズに基づいて、「顧みられない熱帯病」のための新しい医薬品や治療法の開発に共同で取り組む非営利組織である。2003年に、国境なき医師団が世界の医学機関などとともに設立した。国境なき医師団は1999年にノーベル平和賞を受賞しているが、その賞金の一部を設立資金に充てたそうだ。

 DNDiはこれまでにも製薬会社と協力して新しい医薬品の開発に当たってきたが、「創薬ブースター」では、4社と同時に開発を進める点がこれまでと異なっている。DNDiがまず、出発点となる化合物を提示し、それをもとに、4社がそれぞれの膨大な化合物のライブラリーのなかから有望と思われるものを選び出す。そのなかから、DNDiが一つを選び出し、それをもとにまた4社が作業を行う、という過程が繰り返される。これにより、時間とコストの削減が可能になるという。

 各社は、この取り組みによるいかなる有益な発見に対しても、特許やその他の手段を用いて利用に制限をかけないことで合意した、とINYT紙は伝える。

◆創薬で国際貢献を行うための日本の官民パートナーシップ「GHITファンド」
 最近まで、日本の大規模な製薬業界は、主に貧困層を襲う疾患に対しては、関心をほとんど示さなかった、とINYT紙は語る。その状況を変えるために、2013年、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHITファンド)が設立されたという(INYT紙によると発音は「ジーヒット」)。

 GHITファンドは、先進国と開発途上国間における健康格差是正に向けて、複数の製薬会社が政府、NPOと協力し、グローバルな医薬品開発研究の連携を促進する世界で初めての官民パートナーシップである。政府組織では外務省、厚生労働省、国連開発計画、製薬会社ではアステラス製薬、エーザイ、塩野義製薬、第一三共、武田薬品工業、中外製薬の6社が参加している。マイクロソフト元会長のビル・ゲイツ氏が設立したビル&メリンダ・ゲイツ財団も当初から参加している。

 3日には、英ウェルカムトラスト財団、診断薬企業シスメックスが新たに出資を行うほか、全日本空輸(ANA)、弁護士事務所モリソン・フォースターLLP、Yahoo! JAPANが提携企業として参加することが発表された。

 今回の「創薬ブースター」に、GHITファンドは、日本の製薬会社3社の参加への支援として、7950万円の助成金を提供する。同ファンドはこの他にも、シャーガス病とリーシュマニア症対策に、これまでに計11億円以上を投資しているという。

(Newsphere編集部)

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