軍艦島など世界遺産へ 韓国、一部施設に「強制徴用の恨(ハン)が漂っている」と反発
ユネスコの諮問機関・イコモスは、世界文化遺産として、「明治日本の産業革命遺産」を推薦すると発表した。これに対し、一部の施設が日本の植民地時代に韓国人が強制徴用で連れて行かれた場所であることを理由に、韓国が猛反発している。
◆近代日本発展の象徴
UPI通信社によれば、イコモスが推薦するのは日本各地に散らばる23の施設で、福岡の八幡製鉄所、長崎の三菱長崎造船所などが含まれている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、海外の直接投資や公式な経済援助プログラムなしで、いかにして近代日本が発展してきたかを示す場所が選ばれたと説明。2012年の映画『007スカイフォール』にも登場した、「軍艦島」の通称で知られる長崎市の「端島炭坑」が、推薦リスト入りしたことも紹介した。
公式に登録されるかどうかは、6月28日から7月8日にかけて、ドイツのボンで開かれるユネスコの世界遺産委員会で決定される(WSJ)。
◆植民地時代の苦痛に絡め、韓国反発
このニュースに、造船所や炭鉱等のいくつかの候補地が「日本の植民地時代における韓国人強制徴用の辛い歴史」を伴う場所だ(WSJ)として、韓国は猛反発。韓国外交部は「ユネスコ主宰国であるフランスのパリと外交チャネルを総動員して加盟国を(賛成しないよう)説得するという意向」らしい。(中央日報)。
中央日報は、下村文部科学相の「日本の近代産業遺産は1910年以前の話だ。そこで朝鮮人強制労働が行われたのではない。時代が全く違う」という主張に対し、「産業施設の遺産登録期間を1850年から1910年までに限定して韓日強制併合以降の強制徴用を巧妙にはずそうとする内情をあらわにした」と非難。また、日本の産業革命遺産と同様に、イコモスから推薦を受けた韓国の百済歴史遺跡区を引き合いに出し、「韓国は堂々としているが、日本は歴史を否定して偽りの論理を咲かせ国際社会で恥ずかしい境遇になった」という自国の専門家のコメントを掲載している。
◆『恨』で消えないわだかまり
さて、中央日報の2014年3月のコラムによれば、韓国人の情緒を1文字で表せば『恨(ハン)』であり、韓民族とは「悔しいが仕方がないという気持ちを押さえ込んだまま生きていかなければならないという、わだかまりのある気持ちで数千年を生きてきた民族」ということらしい。今回の世界遺産の件でも、韓国外交部の関係者は、「強制徴用の恨が漂っている施設の遺産登録に反対する(中央日報)」と表明しており、『恨』に駆り立てられた韓国の人々の行動も、このところエスカレートしている感がある。
コリア・タイムズによれば、韓国の女性平和外交フォーラム(WFPD)と女性弁護士会が、慰安婦問題への世界的な認知を高める活動の一環として、53人の元慰安婦をノーベル平和賞の候補に推薦する計画を、安倍首相の訪米と同時期に発表した。WFPDは、ノミネートを求める活動は、慰安婦の苦しみを認識し、女性の権利を強め、地域の平和を改善するとともに、慰安婦問題に対し今まで何も対応してこなかったことを日本に思い起こさせるためでもあると述べている。
世界遺産、ノーベル賞ともに、日韓関係をさらに複雑にする可能性もあるだけに、今後の報道を注視していきたい。