休暇大国フランス、日本の有給義務化どう見る? “過労死って?”、“生産性低い”

 日本が有給取得を企業に義務づける方針を示したことに、バカンスの国フランスやベルギーは、好奇心を持って報じている。

 フランスでは総じて6週間の有給休暇があり、夏のバカンスシーズンには4週間ほどまとめて休んで、地元やリゾート地、海外などに家族で出かけるのが一般的だ。休暇は労働者の権利であるという認識が強く、ちょっとした祝い事やイベントなど、ことあるごとに休みを取ることで仕事へのモチベーションを維持している。仕事を大切にしつつも、「仕事をするために生きているわけではない」という割り切りがある。

◆年に5日の有給取得義務
 一方、法律によって義務を課さなければ、年間わずか5日の休暇を取ることもままならないという日本の労働環境は、明らかにフランスの常識を逸脱している。ベルギーの週刊ニュースマガジンLe Vifは、「3分の2の日本人が、同僚に気を遣って休みが取れずにいる」という日本の調査結果を挙げ、仕事を休むことに対する罪悪感という意識について触れている。また、仏経済誌Le journal de l’économieは、働き過ぎによって死亡してしまうことを指す単語(『過労死』)が存在することを興味深げに紹介している。

◆労働者の健康を守り、生産性を向上させる
 フィガロ紙は、「日本人は働いてばかりいるのに貧乏だというのは、あながち作り話ではない」とし、休みを取らずに毎日働いても生産性が低く、国際競争力を高められずにいる現状を指摘。出勤率を重視するばかりで仕事の効率が後回しになっていると分析する。

 また、日本ばかりでなく、アメリカやスペイン、スイスなどの例を引き合いに、こうした「ワーカホリック」が鬱などの弊害を引き起こし、莫大な社会的損害になり得ることを説明した上で、フランスでも近年の不景気によって、「会社に来ること」自体が大切だとみなされる傾向が出てきたと、フィガロ紙は懸念を見せる。

◆仕事、それは健康
 自分が休むことで他人に迷惑を掛けるのを避けようとする日本のこれまでの働き方の特徴は、日本社会独特とも言えるだろう。仏紙La Dépêcheは、フランスの歌手でユーモア人、アンリ・サルバトールの歌詞「仕事、それは健康」を引用して、彼なら日本人に共感できるかもしれないと皮肉った。

Text by NewSphere 編集部