“英国貴族流”英語レッスンが日本で人気? 「時代遅れ…」と英紙読者ツッコミ
1900年代初頭のイギリスを舞台に、貴族と階級社会を描いたドラマ番組『ダウントン・アビー』を用いた英語のクラスが日本で人気となっている。
◆遠方から通う生徒も
英デイリー・メール紙によると、東京の飯田橋にあるブリティッシュ・カウンシルが主催する『ダウントン・アビーで英会話ワークショップ』は、告知したその日に定員が埋まってしまい、あまりの人気に急遽別クラスを用意する必要が出たという。
受講生は大学生から定年後の人まで幅広く、中にはこのクラスのために毎週往復600マイル(約965km)かけて通学している人もいるというから、その人気のほどが伺える。
◆独特の世界観
100年も昔の全く異なる世界を描いたストーリーがなぜここまで人気となったのか。デイリー・ミラー紙によると、生徒はクイーンズ・イングリッシュ独特のアクセントと、登場人物の話し方に魅了されているという。
このドラマでは、貴族の一家とその使用人とが、同じ建物の中でも生活の場から話し方からきっちりと分かれる「厳然たる階級社会」が見所のひとつだ。同クラス講師のサラ・グリート氏によると、生徒は使用人達の方により共感する一方で、バイオレットのような最もダウントンの世界観を顕著に描写しているキャラクターに憧れるという。先代伯爵の妻で現伯爵の母であるバイオレットは、格式を重んじるゆえ鼻持ちならない発言が多い。だからこそ笑ってしまうような決めセリフも多く、むしろ人気となっているようだ。
フィナンシャル・タイムズ紙によると、同じく同クラス講師デビッド・クルーズ氏は興味深いことを発見したという。生徒がキャラクターを真似てそのセリフを再現するときに、貴族のセリフだと自然と声が一段高くなるのだそうだ。逆に使用人のセリフだと、一段低くなるのだという。
同氏によると、撮影場所となったハイクレア城にいくツアーを計画している生徒達もいるとのことだ。まさにその人気のほどがうかがえる。
◆実は日本人の共感ポイントが多い?
デイリー・ミラーによると、日本とは全くの異世界でありつつも、一方で日本人が共感できる面も多いのが人気の秘密だという。
「日本では、実はアフタヌーンティーはとてもポピュラーで、ハリス・ツイードの帽子やバッグも今流行っている。日本人は、英国文化をとても好んでくれて、日常にもたくさん受け入れているのよ」とグリート氏は言う。
グリート氏はさらに「日本も伝統やしきたりを重んじる社会だから、ダウントンの価値やエチケットを重んじる世界観に共感できるのではないかしら。現在のイギリスはもはやこうではないことを皆知っているけど、それでも階級によってどう呼びかけるかが異なるところなど、慇懃な面を文化のひとつとして好むようね」と語っている。
デイリー・メールには、「洗練されてるけど、時代遅れで使われてない英語を学ぶより、今どきの英語を勉強したほうがいいかも?」、「イギリスにきたらびっくりするだろうね。ところでなんでお高くとまった英語を勉強するの?」など、実際にいまイギリスで使われている英語とは違うので、実用的か疑問を呈する読者コメントが多く寄せられた。